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肆佰拾捌 ページ21









切国「………行くぞ。あいつが、道を開いたんだ。
俺達が止まったら、駄目だ」


燭台「……………悪いけど、僕もここに残る」


長谷「!おい、冗談を言うな!
あいつはお前に生きろと言ったんだぞ!」









龍が私達から離れ、距離を離して妖魔を殲滅する中、
私達は苦渋の決断をし、前に進もうとした時。
燭台切が残ると言った。

こんな所に居ては、死んでしまう。
長谷部と切国が止めていたけど、
燭台切はふるりと首を振った。








燭台「大俱利伽羅を、独りに出来ないよ」

鶴丸「あいつの意志を無駄にする気か?」


燭台「そんなつもりはない。
でもね鶴さん…………申し訳無いけど……」







ピシッ






燭台「も、う………満足に歩けそうに、ないんだ」






彼は苦笑しながらそう告げる。
それと共に、何かが割れる音がした。
燭台切の足元を見ると、彼の左足は………
粉々にくだけてしまっていた。

思わず口を手で覆う。







『そんな、!』


燭台「………ついていけば、君達の足枷になる。
それだけは、嫌なんだ」


鶴丸「きみ………」


燭台「それに、分かるんだ。
倶利伽羅は僕に“生きろ”とは言っていない。
その言葉はきっと、君達に言った言葉だ」









燭台切は自分の本体を杖代わりにしながら
遠くにいる黒龍を見つめる。








燭台「彼も、僕の事を良く………
知っているからね。

僕に生きろと言ったのは、
“信じた道を生きろ”と言う意だと思う。

僕は、ここで彼と戦うよ。最後まで。
それに、暴走した大俱利伽羅が
君達を追ってくるかも知れない。
僕が彼を見張ってるから」


『で、も』


燭台「行ってくれ」









揺らぎない瞳。

意志を固め、覚悟を決めたその目は
それ以上の反論は認めないと言わんばかりだった。

…………こうなるって、薄々は分かっていた。
分かっていた、のに。









鶴丸「意地が悪いな……俺はそれなりに歳食って、
重い物を背負うには中々にキツイんだがなぁ」


燭台「…………フッごめん」

長谷「…………簡単に死んだら、許さんぞ」


燭台「分かっているよ。
最後はカッコよく、だよね」


『その台詞、久々に聞いたよ』


燭台「?そ、うだったかな………?」


『………武運を祈ってる』


燭台「ありがとう」




鶯丸「………行くぞ」









そして、私達は二振りと別れる事になる。



その後………二振りに会うことはなかった。




Aside〜end〜

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年4月20日 14時

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