【刀剣乱舞】壱を探す話

206pager　“隠の鬼” ページ17

Aside






『………(なんだろう。僅かに瘴気を感じる)』






長義さん達と別れ、私達は審神者部屋とは逆方向の
刀剣男士達が使っていたであろう
部屋を一室ずつ調べていく。

人が住まない空き家などは
瘴気の溜まり場にもなると聞いた事がある。
長年やはり使われていなかったのだろう。
どの部屋も廃れていた。









御手「こりゃ直ぐに次の審神者が
移り住む訳無いよなぁ………」


歌仙「こうなるまで放って置くとは、
政府は一体何をしていたのやら」


『僅かに感じる瘴気が………
原因かも知れないね』


歌仙「嗚呼、君も感じていたか」

『奥の間に続いてるね』

御手「あんまし長居はしたくねぇなぁ……」

歌仙「気をつけていこう」

『御手杵さんも無理しないように』









確かに、あまりいい気はしない。
この瘴気は良くないものだな。
本当にこんな所に野良の刀剣男士なんて
居るのだろうか。

まさか、この瘴気に当てられて
妖魔に転じていたりしていたら………

私は歌仙や御手杵さんを見る。
二振りが何事もなければいいのだけど。
特に御手杵さんなんて、
進んで前に立っては結界を破ってくれているし。


そんな事考えていたら、
御手杵さんはむず痒そうに困った顔をしていた。
それから振り返り「あのさ、」と
不意に声をかけてくる。









御手「その、敬語は止めね？
何か落ち着かねぇし………御手杵でいいぞ？」


『え……い、今？？』


御手「何か痒くなるんだよ、
その“御手杵さん”っての………
調子狂っちまうしさー」


『そ、う………分かった……』


御手「ﾆｯそーそー。俺、本丸でも何か皆、
変に距離があるからさー。
正直、こうして任務を熟したり、
出陣したりするほうが気が楽なんだ。

あんたにまで他人行儀にされたら、
何か調子出ないからよ」









「本丸でも皆とは出来れば
そうやって接してくんねーかな？」と
彼は苦笑しながら頬を掻いていた。

き、急に言われても………
これまでは私を信頼してくれている刀剣男士にしか
敬語は外した事はなかった。


………いや。これでは駄目だ。
確かに、壁がありすぎてもいけない気がする。




“俺が皆の懐をガバガバに”───









『(信濃……)』


歌仙「主、彼らは悪い奴らでは無いんだ。
僕からもお願いするよ」


『………で、出来るだけやって、みるよ』


歌仙「うん。ゆっくり、少しずつ慣れていこう」


御手「ん。これで皆の距離が縮まればなぁ」









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