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私は蛍丸からオルゴールを預かる。
『オルゴール、預かっていい？』
愛染「いいけど………国行気づくかな」
蛍丸「大丈夫だと思うよ。
オルゴール、国行が出して見てるとこ
見たことないし、多分………
国行自身、見ないようにしてたと思う」
『そう………多分私が近くに居ないと
消えてしまうから、
寝る時もそばに置いとこうと思って………』
愛染「そっか。その方がそいつも嬉しいだろうな」
蛍丸「うん。良かったね、お前」
蛍丸が優しくオルゴールを撫でた。
オルゴールは何も反応はしなかったが、
心做しか、持っている手が温かく感じた。
───────────────
『………(綺麗に手入れされてたんだな)』
その日の夜。オルゴールを眺めながら、
私は昼間の事を考えていた。
思い出、か………付喪神って直ぐに忘れる
人間と違って、思いは………
いつまでも明白に覚えているものなんだな。
まるで昨日の出来事のように、
楽しそうに話していたオルゴール。
彼女は、私よりもずっと………
強い子何だと思った。
『………あ、埃が着いてる。拭いておくよ』
って、眠ってるだろうし、聞いてないか。
何やってるんだか………以前の私ならあり得ないな。
神の為に何かをするなんて。
『ﾊｧ､情が移ると面倒だね………
ねぇ、オルゴール。
私は神の存在が今でも苦手だけど。
強い君の力にはなりたい、かな………』
ｵﾙｺﾞｰﾙ《…………》
『正直、嬉しかったんだよ。私を頼ってくれて。
君は私の霊力が目的で
最初に詰め寄って来たんだろうけど、
嬉しかったんだ。
頼られる事なんて、あまり無いから』
ｵﾙｺﾞｰﾙ《…………》
『………ﾌｩ、駄目だね。
これだから君みたいな存在に
つけ入られるんだろうな。
おやすみ、オルゴール』
布団に入り、明かりを消しながら
私はオルゴールにそう声をかけて
眠りについた。
自分が甘い事くらい、知っている。
これは私のエゴであり、私は偽善者だ。
それでも………一度情が移れば、
中々、離れがたくなるものなんだよ。
『(さながら私は、同級生の恋を
応援する友人ポジションかな)』
………なんてね。
君が、もしも人間であれば………
君と友人になれたかな。オルゴール。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年2月27日 11時
