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オルゴールは信じられないと
言わんばかりに、
驚愕した表情で、声を震わせながら語る。
その時、蛍丸がハッと何かを思い出したように
部屋のタンスを漁り始めた。
しばらくして蛍丸がとある箱を持って来る。
蛍丸「これって、君?」
オルゴール《!》
切国「これは………
あんたの“本体”か?オルゴール」
オルゴール《は、はい!そうですっ》
蛍丸が持ってきたのは白の箱に
蒼と金色の装飾が施された美しい骨董品。
一目でオルゴールの本体だと気づく。
本当に綺麗………壊れてしまっても
残っていただけはある。
見惚れる程、綺麗なオルゴールだった。
『………綺麗……。』
オルゴール《当たり前です。
伊達に100年生きてまへん》
『(付喪神って、そう言えば
100年で物に宿るんだったか)
オルゴール、君達のだったんだね』
蛍丸「フルフル)違う。俺達のじゃないよ。
これは国行の」
『え?』
愛染「国行がここに来る時、
持って来たオルゴールがそれだよ。
国行と俺達は別の本丸の出なんだ」
“国行の本丸は───【解体】されたよ”
───────────────
ザァッと、強い風が吹いた。
私達の髪が風に揺れる。
その瞬間がやたら、無音だった。
赤神さんに教わったが、
刀剣男士達には刀工の関係からか、
“兄弟”と言う概念があるらしい。
刀派事に部屋割りしてあるって聞いていたから
二振りは多分その“明石国行”とは
縁のある刀剣だろう。
愛染「?切国さんも知ってるよな?」
切国「………ぇ……あ、嗚呼。
そ、う……だったな」
蛍丸「だからか、国行と俺達には距離があるんだ。
そこまで親しくない、と言うか。
国行に………避けられちゃってて」
オルゴール《ど、どう言う事です………?
貴方達は、うちが知るお二振りじゃないん?》
愛染「えっと………あんたが知ってる俺達が
国行が居た本丸の俺達なら、
そう言う事になるかな」
オルゴール《そんな………ならうちが知る
二振りはどうなったん!?》
切国「………分からないが、解体処分で
明石国行だけがこの本丸に来たなら、
もう居ないのかも知れない」
オルゴール《あの、二振りが……
頭を撫でてくれた、二振りが………》
オルゴールは、切国さんの言葉に
力なくへたり込んで、呆然としていた。
そして、透明な雫が綺麗な瞳から流れ出た。
流れ出る雫はやがて蒼の宝石となって、
地面に落ちて行った。
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年2月27日 11時