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121pager 《刀の生と死》 ページ2

Aside







『…………何、してるの』

??「………」







数日後。赤神さんが会合から帰って来て、
私の体調も安定した頃。

本丸の外、畑の片隅で
ひたすら穴を掘る付喪神を見つけた。
彼は黙々と穴を掘り続け、
土まみれになっていた。


私がまだ出会った事のない、付喪神。









??「人間。ほう………?
そちらから仕掛けてくるとは。
わざわざ殺されに来てくれたか」


『!』


??「身構えるか。人の身でありながら、
俺に勝つ気か?」


『ッ………一方的、ですね。
私は貴方に何かした覚えは無いんですが』


??「…………そうだな。何もしていない。
安心しろ、冗談だ」









彼は白髪の眉が見えない短髪に、
金の切れ長な瞳を持っていて、
全体的に寡黙な印象だった。

白と黒のアシンメトリーのトッブスと
ジャージも来ているから、
それも相成って圧力が凄い。


思わずたじろいでいると、
その付喪神は目を伏せて警戒を少し解いた。









??「それに、俺にはお前を殺せない。
その為の刃が………俺には無いからな」


『………え、?』


??「………」









それだけ告げて、彼はまた掘り続けた。
そしてある程度掘り進めた後、
何かを包んだ手ぬぐいを穴の底へ置いた。
大きさは………スイカぐらい?

………いや、中身はスイカでは無さそうだった。









『それは?』

??「………この本丸に住み着いていた猫だ」

『猫………墓を作ってたんですか?』

??「作り方は知らん。人間の見様見真似だ」

『………』








彼は淡々と告げながら、
その猫の亡骸に土をかけていく。

そして盛り上がった土の山を眺める。









??「この猫は俺が殺した」

『ッ、!』


??「無意識にな。だから戦には行けん。
俺は無差別に殺戮するバグらしい。
あんた、無防備だったぞ。
すぐに俺に殺されるのが落ちだな」


『は、………?』


??「分かったら無闇に近づかない事だ。人間」









彼はそう言って立ち上がると、
その場から離れていく。
さっきの、殺意は…………冗談じゃなかったんじゃ。

そう考えたら、ゾクリと嫌な悪寒が走った。

122pager→←◇body without body temperature◇



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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年2月27日 11時

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