弐佰肆拾陸 ページ7
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切国「長谷部、また主の下に行くのか」
長谷「貴様こそ毎日通っているではないか」
切国「あいつを独りにはしないと約束したからな」
長谷「それよりも、後で手合せに付き合え」
切国「……………」
長谷「………おい。おいっ！
結果は見えていると言わんばかりだな！？
今度こそ貴様には負けん！
そして勝った暁には
近侍を代わってもらう！！」
切国「？？？(そんな話だったか？)」
薊「おや。また冬矢の所に行くのかい？」
長谷「！薊様」
薊「正体が分かってからは
冬矢に付きっ切りだね、長谷部。
私の仕事も手伝ってくれているのに………」
長谷「俺は貴方方の刀ですから。お気になさらず」
薊「そうかい？無理はいけないよ。
冬矢にも宜しく伝えてくれ。
嗚呼、後霊力の鎮静剤も渡しておくよ。
彼の体調も診てきてくれ」
薊様はいつも多忙な日々を過ごされていた。
毎日冬矢様の下へ向かう俺と山姥切に
冬矢様の容態や様子を聞くのが彼の日課であった。
彼はいつも冬矢様の事を気にしていた。
そして、多忙ながらに見舞いの品を
いつも俺達に預ける。
そこから彼は冬矢様の事を
大切にしていたのだと思った。
とても穏やかでお優しい方だ。
俺はそんな冬矢様も薊様もどちらも慕い、
自分に出来る事を精一杯こなした。
薊「けれど程々にするんだよ？
彼の霊力は強すぎる。
初期刀である山姥切はともかく、
長谷部、君はそうはいかないからね」
長谷「お気遣い、痛みいります。
では行ってまいります、薊様」
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冬矢「本当に毎日来てくれるなんてね」
長谷「ご迷惑でしたか？」
冬矢「もう、僕の事知ってて聞いてるの？
意地が悪いなぁ………」
毎日通えば冬矢様はそう言うが、
やはり嬉しそうに口を緩めてくださった。
窓越しの会話も大分慣れ、
山姥切と時間が被れば二振りで主に会いに行った。
前の俺がどんな奴だったかは知らない。
だが、主の声音は確かに明るいものへと
なって行ったように感じる。
その声を聞くのが、心の何処かで
楽しみにしている自分もまた居たのだ。
冬矢「まんばもいつもありがとう」
切国「気にするな」
冬矢「何だか二振りが僕に会いに来て
被るのが当たり前になって来たね。
二振りはいい相棒かな？」
切国「ﾌｯ………まあな」
長谷「ご冗談は止めてください………
それと何故お前は自慢げなんだ」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
