＊白き焔に雪降りの舞を＊漆章 (ページ39)

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弐佰漆拾捌ページ39

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政府本拠地

本拠地に案内され、俺達は建物内へと
歩を進めていく。
どこへ行っても近未来的な世界だ。
私が居た時代よりも更に進化した200年後の世界。
今こうして実際にこの目で見ていても、
実感がないと言うか………
計り知れない未来の世界感に圧倒されるばかりだ。
今見ている光景が後で消去される、とは聞いたが、
確かにこれは見ていて飽きないな。

二重「お待ちしてました、七緒さん。
すみません、私が出迎えればよかったのですが、
何分この頃の不穏な動きに
政府も対応が遅れていまして………」

七緒「いいや、大丈夫ですよ」

二重「くろのすけ、ご苦労。
彼らは私の客人です。
後は私の方で彼らを案内します」

くろ《承知しました》

くろのすけの後を着いていき、
そして無事に二重さんと合流出来た。

二重さんは申し訳なさそうに
目を伏せながら謝罪をしてきた。
そしてまた、施設内の奥へと案内される。

蜂須「主、彼女が言う
“見てもらいたいもの”に関しては
詳しくは聞いていないんだろう？大丈夫なのか」

七緒「俺は彼女を敬愛している。
彼女には妹の捜索の時も手を貸してくれていた。
俺には彼女が悪いようには見えないよ」

太鼓「主の人を見る目は確かだしなー」

蜂須「俺も主の目利きは十分知っているよ。
でも、先程のくろのすけのように、
守備が厳重な本拠地で、
一体何を見せたいと言うんだ」

太鼓「まあ、確かに………」

蜂須「俺が心配しているのは、
誰もが知らない、大きく………そして重いものを
主に背負わせてしまわないか、と言う事だよ。

気づいてしまったら、
目を離せなくなる。それが人だ。
ただでさえ主は妹君の事で精一杯だろうに、
これ以上主に負担をかけたら………」

太鼓「あーあー！また蜂須賀の心配性が始まった。
だから俺らが居るんだろ。
主の負担が軽くなるようにってよー」

蜂須「そ、そうだけど………」

七緒「言っただろう？俺は無理はしてないよ。
任せられる事は皆、君達に任せているんだから」

俺は笑ってそう自分の本心を蜂須賀に告げる。
蜂須賀はどこか複雑そうな顔をして居たが、
やれやれとその表情は呆れたような、
でも安心したように息をつく。