弐佰漆拾肆 ページ35
･
カサッ
鶴丸「………ん？」
倶利「……………」
その時、後ろを歩いていた伽羅坊が
会話の手段である紙を
ぐしゃぐしゃにしている事に気づいた。
他の奴らは気づいていない………
？？？書き間違えたのか？それにしては………
鶴丸「伽羅坊、どうした？」
倶利「…………【なんでもない】」
鶴丸「いやいや、そんなに紙を使ったら
使い切ってしまうぜ？何を書こうとしてるんだ？」
倶利「【もんだぃなぃ】」
鶴丸「問題ないって………
！？おい、伽羅坊！ちょっと待てっ」
倶利「ｯ………」
俺は様子がおかしい伽羅坊の腕を掴み、
引き寄せて彼の腕を見る。
勿論とんでも無く嫌がられたがお構い無しだ。
確かめなければならない。
俺は腕を引かれ、嫌がる伽羅坊を置いて
そのまま伽羅坊の服の袖を捲る。
………鱗の面積が、増えている。
肌が剥がれ落ち……そこから覗く黒い鱗。
そして先程から見せてくる筆跡は
上手いとは呼べない歪んだもの。
鶴丸「…………君……」
倶利「………」
鶴丸「………皆、ちょいと待ってくれないか」
最悪な想定に行き着いた俺は、
このまま先に行くには
皆に伽羅坊の事を伝える必要があると判断し、
先を歩く全員に声をかけた。
伽羅坊は俺の言葉に目を丸くし、
そして睨みつけた。
切国「？どうした、鶴丸」
燭台「鶴さん？」
倶利「ｳﾞｩｯ………！」
鶴丸「駄目だ。これは伝えるべきだ、伽羅坊。
お前は今、独りで戦っている訳じゃない。
簡単に命を落とすような世界で、
君に無茶をさせる訳にはいかない」
燭台「…………？倶利伽羅？」
鶴丸「伽羅坊よ、正直に答えろ。
………君、もしかして───
“字が、分からなくなって来ている”じゃないのか？」
鶴丸side〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
