弐佰陸拾壱 ページ22
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切国「…………あんたが」
薊「？」
切国「あんたが早く、主を見つけてくれれば、
主は………仲間は……あんな目に…………」
薊「………」
切国「！…………すまない。
八つ当たりだ。忘れてくれ」
人間のせいにするなんて。
自分の失言に、俺は自分を恥じた。
この人間に言った所で………
俺は、無力な自分に失望していた。
俺ではなく、あいつのような奴が………
主には必要だった筈なのに。
目に浮かぶのは、藤色の瞳をした名刀の最期。
俺には重すぎる………これまで、
主の為にと尽くしてきたが………
あんたのようにはなれない。
薊「………山姥切。自分を責めているのかい。
なら、責める必要は無いよ。
君は確かに、冬矢の力になれているよ。
自信を持ちなさい」
切国「簡単に、言ってくれるな」
薊「ふふ。では一つ聞くけれど、
あの子が何故、君から離れて
閉じこもっているか、分かるかい」
切国「…………」
薊「君が、大切だからだよ。
って、大切にされているって自覚は
一応あったのかな。
………いいや、期待をしないように
わざと気づかないふりをしてた、か」
切国「ｯ………」
薊「君らしいな。色んな君を
見てきたけれど、君は特に………
大丈夫。君の主は元気になる」
───────────────
主は少しずつ、少しずつ………
心の傷を癒やしていった。
そしてその傷を埋めるように、
薊の力を借り、刀剣を顕現するようになった。
顕現出来なければ、審神者として
居られなくなるからだ。
薊の術はどうやら主の力を抑える作用があるらしく、
薊の力を借りれば刀剣を顕現出来るようだった。
俺は後にやって来た刀達をまとめるようになった。
主は他の刀剣には近づけない。
だから、主の言葉を皆に伝える役目を担っていた。
だが、主が顔を見せない事に
不審に思う奴らも現れ始め、
仮であるが代理で薊が審神者をやる事になった。
途中で、俺は政府から“極計画”を持ち出され、
その任務を引き受けた。
強くなるために。
弱い俺が、主の助けになるために。
かつて、憧れていた………あいつのように。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
