弐佰肆拾弐 ページ3
･
勝てるはずも無い。
山姥切はこの本丸の中で、最も戦の場数を踏み、
経験し、並外れた力を既に得ていた。
政府からの信頼も熱く、
最近問題となっていた“検非違使”への
対抗の術の一つとして
“極計画”の試験対象に選ばれ、
見事にさらなる力を得た、珍しい個体だった。
だが、疑問点があった。
それ程の力を有した審神者の本丸だと言うのに、
山姥切以外の刀剣は、俺と同じく経験が浅く、
刀剣の数も割に合わないのだ。
そして………
長谷「(腑に落ちん………)」
切国「今日は何だ？」
後藤「栗きんとん」
切国「歌仙のは上手いからな」
後藤「山姥切が作ると焦げた玉鋼化するしな」
長谷「おい、山姥切！
手加減は無用だと言ったはずだっ！」
俺は呑気に後藤と会話している
山姥切にそう声をかけた。
山姥切は俺の方に振り返る。
…………山姥切が出陣した所を、
俺は一度も見たことはなかった。
それどころか、山姥切が刀を抜く姿さえも。
刃を振るわずして何が刀剣か。
手合せは何度か他の刀剣とも行ってはいたが、
皆真剣でやった。だが山姥切は木刀。
あいつだけ特別扱いか？気に入らない。
俺は山姥切のに問う。
すると奴はふぅ、と一息吐くとこう続けた。
切国「出陣に参加しないのは“主“との約束だ。
俺は主を守る為にいる。だからここでは抜刀しない。
それにあんたは仲間だ。向ける必要もない」
そう答えた。
答えになっていない………
山姥切の言葉に懸念を抱くが、
”後で見せたいものがある“と短く告げると、
山姥切は布を翻し、去った。
───────────────
長谷「………離れに何があるんだ」
切国「急かすな………見てくれた方が早いんだ」
山姥切の案内で俺は本丸から少し歩いた所にある
離れまでやって来た。
離れの辺りは妙な空気が漂っていた。
清い………と言うよりかは強い”霊力“を感じる。
そう、霊力の質では無く、
ただただ“強力な霊力”だ。
少し、酔ってしまうくらいの強い力。
こんな場所があったとは知らなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
