弐佰伍拾漆【強欲ノ罪】 ページ18
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───俺の望みは────
───【己】を殺す事────
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山姥切side
俺は冬矢によって顕現された山姥切国広。
初期刀として、主である冬矢に仕えるようになった。
………こんな写しの何が良かったのかは知らないが、
当時の冬矢はまだ、距離は近かった。
冬矢「やあ、山姥切………だったよね。
僕は“冬矢”だよ。一緒に頑張ろうね」
冬矢はそう言って手を伸ばしてきた。
その手を握り返せば、強い霊力が一気に流れて来た。
思わず酔ってしまうくらいの強い力。
距離は近かったとは言え、この頃から冬矢は
強い力を有していた。
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この本丸には管狐はいない。
政府の管狐とは言え、妖狐。
主の力には耐えられず、管狐は派遣されなかった。
だから、政府からの指示は
本丸一つに付く専属の役人から受けていた。
………端末越しで。
冬矢「………また、駄目か……」
主は刀剣を顕現するのが苦手だった。
呼び起こす事ができたのはほんの数振り。
後の刀剣は姿をことが無かった。
それでも主は諦める事なく、
こつこつと任務に励んでいた。
仕える主に、不満はない…………
だが、疑問に思う事はあった。
何故政府はこれ程強すぎる霊力を持った
主を審神者にしようと考えたのか。
冬矢「僕はね、この力で家族を亡くしたんだ。
僕の力を欲した、時間遡行軍に………
両親は亡くなった。
そこで政府の人達に引き取られた。
身寄りが無かった僕に、本丸をくれた。
まあ、政府の人達も………
目的は僕の霊力だったらしいけれどね」
主が言うには、身柄を保護してもらう代わりに、
霊力の供給をするように言われ、今があると言う。
だが、主の霊力は質が強いだけで、
無限にある訳ではない………
政府へ霊力を供給しても、
主の体に負担がかかるだけだった。
切国「…………だから、か」
冬矢「？どうかした？」
切国「あんた、最初よりも痩せているぞ。
無理して政府に霊力を
供給しているんじゃないのか」
冬矢「無理………ううん。大丈夫さ。
供給していた方が寧ろまんばや、
他の刀達にかかる負担が減るらしいんだ。
僕は弱い人間だから、出来る事があれば
やっていきたいんだ。
ほら、供給すると………こうしてまんばにも
触れられるしね」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
