弐佰伍拾肆 †終わりへの道† ページ15
Aside
戦闘は終わった。
けれど、全てが解決する筈も無かった。
菖蒲ノ都は何者かの手によって、火が放たれた。
………それは長谷部の仕業やろうけど、
地下深くにあるこの都では直に家々は燃え広がり、
住人の矛先は、うちに向けられた。
焔を操るうちを目撃しとった住人が居たようやった。
疑われるのも、無理ない。
…………
……………だから人間は、嫌い。
───────────────
『…………』
住人から追いかけ回され、
大倶利伽羅と未だに目覚めない切国を連れて、
うちらは洞窟の中を歩いていた。
会話がある訳でもなく、
ただ、行かなければならない道に沿って歩く。
光が見える方角に向かって、ただただ歩く。
洞窟を抜ければ菖蒲ノ都から抜け出して
“藤ノ都”へと辿り着くんやけど、
必要最低限の会話しかない分、気まずかった。
『…………燭台切、切国の兄さんは』
燭台「………目覚める様子はない、かな。
でも彼の傷も僕が引き受けたし………
直に目が覚めるはず何だけれど、」
『大倶利伽羅から移した毒は？
体は、何ともないん？』
燭台「毒の症状はないから大丈夫。
毒は収まった、と………思う」
倶利「…………」
燭台「痛っ！！？ちょっと倶利伽羅っ
いきなりどつくことないだろう！？
背負っている山姥切君を落としたらどうするの」
倶利「【余計な事を】」
燭台「言っておくけどあのままだったら君、
死んでいたからね？」
倶利「【あんたまで契約する必要は無かった】」
燭台「………ｯ、その言葉、
そっくりそのまま返すよ？
ただ………いや、何でもない」
燭台切は途中まで大倶利伽羅に反論しとったけど、
ハッと口を閉ざして、言葉を飲んだ。
お互い様、と言う訳やろか。
死んでほしく、無かったから…………か。
燭台切に力の代償を払わせたの、
うちの事も、あるのかも知れへん。
大倶利伽羅が死にかけてた時、
思わず、取り乱してしまったから…………
…………自分が、情けない。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年10月29日 14時
