佰玖拾陸 ページ37
･
二重「さて、余談は置いておいて………
七緒さん、ちょっと」
七緒「！………蜂須賀、太鼓鐘。
引き続き聞き込みをして来てくれるかな」
二重さんは話を戻すとちらりと俺の刀達を見やる。
どうやら彼らにはあまり聞かせたくない内容らしい。
そう察した俺は二振りを下がらせた。
二振りは俺に対して何か思う所があったようだが、
何も聞かずにその場を後にしてくれる。
七緒「これでいいかな」
二重「ご協力、感謝します。では手短に。
先程七緒さんは“神殺し”が出来る一族は
限られていると仰ってましたね。
恐らく私と七緒さんが考える
カルト集団の正体は同じかと」
七緒「“桜真の一族”、だね。
私や貴方のように“数字”と“重”が苗字に入る、
“神との交渉が可能な一族”
そして“神殺し”が出来る唯一の血筋」
二重「ええ。貴方や私がそれに入ります。
勿論貴方は被害者側ですし、
貴方の事は信じています。
しかし、一族が関わっていないとは思えない」
刀剣男士が死す時。それは主に三つの方法がある。
一つは審神者の手で、自ら刀解する時。
二つ目は審神者か刀剣男士が致命傷を負った時。
そしてもう一つが、第三者などの言った
例外のパターン。
審神者と刀剣男士は切っても切れない、
強い縁がある。それは他者からの
干渉では滅多に切れない。
そんな事が出来る人間は、その一族しか。
二重「これは、桜真の血縁者でしか
話されていない情報です。
例え政府の幹部とは言え、公には出来ない。
自分の仲間を売るようなものですからね……」
七緒「………」
二重「私は一先ず神殺しの力を最も色濃く
伝承に残している一族、九重家に目をつけてます」
七緒「！そんなっ」
二重「私とて、疑いたくはありませんよ。
可能性の話です。現在に置いて神殺しの儀式を
知っているのは九重家ですから。
カルト集団を組織しているのであれば、
私は捉えなければならない。
疑いたくない気持ちは分かりますが、
裏を返せば無実も証明出来る。
今は情報が足りません。
私は審神者の皆様を守る義務があります」
真剣な眼差しで、二重さんはそう胸の内を告げる。
疑いたくは、ない。しかし、九重家には縁があるし、
俺の友人だっている。
…………それに、七重家だって、
九重家には劣るが“神殺しの儀式”を
多少言い伝えが残っているんだ。
俺が心配なのは、七重家こそが
今回の元凶じゃないかと言う事だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年9月29日 18時
