佰陸拾参 ページ4
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夏田「………ぅ、ん？」
燭台「気がついた？」
夏田「………燭台、切……さ」
主を虐めていた人達は懲らしめておいて、←
僕は主を背負って、夕日の差す帰り道を歩く。
その最中、主が目を覚ましたようで、
僕は声をかけてみた。
最初、彼女はぼんやりとしていたようだけど、
やがて慌てて笑って僕の服を少し引っ張る。
夏田「あ、ありがとう。もう平気。大丈夫」
燭台「大丈夫じゃないでしょ？
ごめんよ、手当て一応したんだけど、
薬研君みたいに上手く出来なかったよ。
それから、すぐに助けて上げれなかった。
格好悪いね、僕」
夏田「ぇ………どう、して？」
燭台「どうしてって………
そりゃあ、怪我してほしくなかったから」
夏田「…………貴方、や……他の皆、は。
どうして、私を打ったりしない、の？」
燭台「！」
夏田「見た、でしょ？私の、目。
気持ち悪くない、の？
何で、助けてくれた、の？
いつも傍に居てくれるのは………どうして？」
それはまるで、幼子の純粋な問だった。
さっき、人通りで噂していた人に聞いてみたら、
主は幼少期に時間遡行軍に連れ攫われて、
遡行軍側の審神者として育ったらしい。
そこで行われていたのは、非道な実験。
人に必要な“感情”を消去する実験に、
主は巻き込まれ………結果、
他の感情を忘れてしまい、
笑う事しか出来なくなってしまった。
幸いにも政府に保護されたんだけど、
それでも彼女に刻まれたモノは、消えなかった。
感情を、思い出させることが出来れば、
彼女は自分を取り戻せるのかな。
燭台「主は、今まで頑張っていたんだね。偉いよ」
夏田「！」
燭台「大丈夫。君に酷い事する人は、
もう居ないから」
僕達が、そうさせないから。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年9月29日 18時
