検索窓
今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:12,207 hit

佰捌拾陸 ページ27











『過保護やなー。死なへんし、
攻撃とか避けなくても
勝手に治るんやからへーきやって。

その方が色々と都合が──』


鶴丸「!!そう、いう事じゃ………!ない、んだ」









………これ程、取り乱したのはいつぶりか。
脳裏から離れない。あの時見た光景が、離れない。

きみが死ぬと言う、走馬灯を見ただけで。
突拍子もない、ただの夢のような
そんなあるかも知れない光景を、
目にしただけで。


俺は、何故………恐ろしいと思ったのか。









『鶴、丸………?どうか、したん?
何で………そんな。変やで………兄さん』









嗚呼、らしくなくて年甲斐もなく
困惑しているのは俺自身だ。

きみが俺をかき乱す。今までそんな事、
無かった筈だと言うのに。
きみは何を知っている?きみは、誰だと言うんだ。


思い出したいと思うのに、
あと一歩が届かない………


その踏み出す一歩が、
酷く恐ろしく思う自分も居て………









『心配してくれたんやな、ありがとうな。鶴丸』


鶴丸「…………きみには恩がある。
仲間と引き合わせてくれ、救ってもらった。
俺はその礼をまだきみにしてやれていない」


『?』


鶴丸「だから、傷付きながら戦うな。
これから危ないと思ったら………
俺の所まで来てくれ。

俺がきみを守ろう。必ず」


『………あはは、考えとくな。

クスクスッでもな、鶴丸。
うちのような妖魔を守るなんて、
良くない事になるからな?』









きみは何故、時折そんな寂しそうに笑う?
飄々と笑いながらも、何かを恐れるように
一線を引くきみは…………









鶴丸「(きみが、どれほど優しい奴か………
その顔を見れば分かるんだ。
だから、余計に放ってはおけないんだ)」









今までずっと、旅をして来た。
今や当たり前のように隣にいるきみ。
だが、もしも………きみが死ぬような事があったら。

これまでの積み上げていたものが崩れそうで。
しかしきみは歩み寄らせまいと壁を作る。


傍に居るはずが、きみはそれを許してはくれない。





きみは、何を知っているんだ………







鶴丸side〜end〜

佰捌拾漆 †傍観者†→←佰捌拾伍



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年9月29日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。