佰捌拾 ページ21
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燭台「(………そうだね。倶利伽羅。
逃げ続けるのは、駄目だね………)
………現世に、帰るよ。
これまで通り君達と一緒に行く」
鶴丸「そうか。君がいると心強いな」
燭台「そうかい？
倶利伽羅も、人の姿に戻れていないし、
僕に架せられた無痛の罰もまだ解けていないからね。
もしもまだ………やり直すことが出来るなら。
まだ人と歩めるなら。
もう一度、人を愛することが
出来るようになりたい。その為に帰るよ。
倶利伽羅と一緒に」
『………そう。その目的を忘れんようにな。
必ずうちが………皆を送り出すよ』
鶴丸「“きみも”、だろう？」
『うちはあくまで案内人やで？
まあ、せやな。もうここの驚異は居ない。
行こか、次の都へ』
望みは愛を殺す事だった。
もうその愛情を、求めたくは無かったから。
でもまだ、僕に人を愛する資格があるなら、
主……青空君………そして、折れてしまった仲間達。
君達が生きた世界で………もう一度、
“生きる事”をしてみようと思う。
君達が確かにいた、現世の世界で。
燭台切side〜end〜
───────────────
Aside
『(いっ………やっぱり心臓はちょっと、
ダメージデカかったな………)』
大蜘蛛を弔い、洞窟から出て
ようやく緊張が解れたと思っとったら
胸が軋むように痛み始めた。
思いっきり、ぐっさりやったしな………
自分が不死身でつくづく便利な体やと思った。
(まあそもそもうち、死んでるようなもんやけども)
着物に着いた血を見ると、
結構出血凄かったみたいやな………
死なない体で良かったわ。
鶴丸「A」
『ん、何や？鶴丸』
鶴丸「やはり、きみ………体に負担が
かかっているんじゃないか？
顔色も良くないぞ」
『大丈夫大丈夫。死なへんから。
ちょっと兄さんが居ない間、
二回くらい死んだけどな』
鶴丸「い、いや、無事じゃないなそれ……？」
この短時間で溺死と斬殺やしな。
体力結構使ってもうたし、ちょっと疲れた。
(過去最短の蘇生からの死やったわ)
鶴丸「………きみのその力は」
『そ。死ねない呪い。永劫回帰。
うちが生前、本来生きる筈やった寿命を
命の焔で燃やし消費する力。
どんな目にあっても、必ず再生する。
首を落とそうが焼かれようがな。
この力のおかげで焔を操れとるんやで。
言い方を変えれば命そのものを
操っとるのと同じやしな』
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年9月29日 18時
