佰陸拾弐 ページ3
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燭台「あ。主！一緒にご飯食べないかい？
作ってみたんだ。顕現したばかりで
まだ上手く出来なかったけど………」
夏田「ぇ………あ、だ……大丈夫で、す。
神様と一緒に食事なんて、こんな私と………なんて」
燭台「？なんだ、そんな事気にしてたの？
僕は君の刀だよ？気にしなくていいのに」
夏田「し、食欲が………ない、ので。じ、じゃあ」
燭台「あ、待って！………また駄目かぁ」
彼女はあまり僕達とは関わろうとはしなかった。
いつも笑っているけれど、
やっぱりどこか偽っているように思えて。
刀が増えても、それは続いた。
燭台「………どうしたらいいかな。倶利伽羅」
倶利「さあな」
燭台「でも君を引き取ってくれたんだ。
根は悪い子じゃないと思うんだ……」
倶利「お前も物好きだな」
燭台「心配なんだよ。勿論、君の事も」
倶利「……………」
彼女はいつも怯えている。
それでも無理に笑って、僕達の様子を伺う。
何でかな………僕達に何か出来ないのだろうか。
───────────────
燭台「主ー！困ったな………まさか逸れるなんて」
ある日、万屋まで主と買い出ししていたんだ。
でも、逸れてしまって、周囲を探し回っていた。
主は直ぐに見つかったんだけど………
「「気持ち悪いっ！！
お前は元は遡行軍で、敵だろう！」」
「「赤目の術士っ」」
「「遡行軍の犬め！！」」
燭台「ｯ！！」
主は、他の人間から虐待を受けていた。
大人数で寄って集って、逃げ場を失っていた主は
暴力を受けながら笑って謝っていた。
夏田「ゔ、は、ははは、
すみません………すみません」
「「見て………夏田本丸の……」」
「「嗚呼、幼少期遡行軍に連れ攫われて
“感情を殺す術”をかけられた奴か」」
「「感情を殺されて、
笑う事しか出来なくなったとか」」
「「術を受けた証に、
あの様な血の色の瞳になるんだと。
可哀想だが、不気味だよな」」
夏田「すみません……すみません………
打たないで、泣きませんから」
その時、顕現してから初めて
覚えた感情が湧き上がった。
怒り。ここまで怒った事はなかった。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年9月29日 18時
