佰漆拾捌 ページ19
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『まだ、怖いん？』
燭台「怖、い？………そう、かな。
君をまた傷つけないか、怖いよ」
『良かった。うちの事は嫌いやないんやなぁ』
燭台「ｯ！？」
『ふふ、冗談。
………兄さんはちゃんと痛みは分かっとるよ。
“感覚”やなくて“心の方”をちゃんと。
だって、痛みが分からない者が涙を流すなんて事、
あるわけないやないの』
燭台「A、く………」
『あんな………優しい顔は、あの涙は……
痛みが分からなきゃ、出来やしないよ。
体の痛みが分かるようになれば、
きっと、自分を許せるようになる。
痛みは………心の声の一つ何やから』
そう言って、笑ってみせた。
多分、この世界にいる限り………
兄さんは“痛み”が分からんままやと思う。
でもそれは“触感”の話で、
”心の痛み“はちゃんと兄さんは分かっとる。
ここから出て、痛みが分かるようになれたらええ。
痛みは生きている証拠なんやし。
燭台切はしばらくうちを見て、
目を見開いとったけど、優しく微笑み、
“ありがとう………”と目を伏せてうちに応えた。
本来の燭台切を、ようやく見た気がした。
会ったばかりの時はわざと冷徹な自分を
演じとっとったけど、
やっぱりどこの燭台切も、
本質は殆ど変わらへんようやった。
鶴丸「さて、光坊よ。俺は伽羅坊から筆談で
大体は君達の事は把握しているが………
聞いてもいいかい？君達の話を」
燭台「………恥ずかしいな。
格好悪い自分を話すの。
でも僕も聞いてほしかったから……
君達だから聞いてほしいんだ。全部、話すよ」
Aside〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年9月29日 18時
