【刀剣乱舞】その人間、縁を織ります

†参佰肆拾捌† “忘れない愛” ページ19

小夜様は否定するように
必死にそう言った。

それは自分に言い聞かせるようにも見えた。
それから語尾に連れて、
彼の言葉は徐々に小さくなる。


……………彼は復讐で敵を殺すことでしか
生を見出すことが出来ず、
そのことを自身でも疎んでいる。
でも本当は……………








『……………』

小夜「！な、に………」


『…………誰かを憎む事で、自分を見出だせるのなら、
それでいいと思うよ。

それが君にとって“自分の在り方”なら。
でも、自分を見失っちゃ駄目だ。
人を疑ってもいい………ただ、自分に嘘を吐くまで、
自分を追い込んだら、君は君でなくなってしまう』









私はポフッと、優しく小夜様の頭に手を置いた。
彼は見開いたまま、私を見上げている。
そして、流れてきた。

彼の記憶が。





Aside〜end〜
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

小夜side





??「君達は、どうする？
言霊で縛られ折られるか、殺すか、眠るか」


小夜「……………」







僕は復讐を望まれて生まれた。
小夜左文字に宿ったのは、僕と言う復讐の闇。
復讐する事で、僕の存在がここにある。

でも何故か、あの時の答えは
“復讐する事”じゃなくて“眠る事”を、選んだ。


どうしてか、自分でも不思議だった。
けど……………今なら分かった気がした。







僕は、本当は人を疑いたくなかった。
僕を生んでくれた人を、信じたかった。
恨みたくなかった……………

これが、刀の本能なのかは分からない。
でも……………僕を顕現してくれたのは
紛れもなく主だった。


人の体を得て、人と同じように
心を宿すようになってから、
僕は主しか人を知らない。


……………そう、どう思い返しても、
あの人達の隣しか知らない。
笑う主の隣しか知らない。

結局僕は刀だった。
幸せに感じていたんだ。


彼らと過ごした日々が、
僕が知る全てだったんだ。

信じたかった。信じたかったんだよ、主。








僕は、貴方と一緒にいたかった……………









だから、僕は選んだ。
眠る事を……………選んだんだ。









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