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†参佰肆拾陸† ページ17

Aside





私は小夜様の様子を伺いに、
手入れ部屋に入った。

彼は先程とは違って、落ち着いたようだった。
あれだけ、苦しい思いをしていたんだ。
回りが見えなくなってしまうのも、無理はない。

私は側まで来て、そっと手を伸ばす。
先程、彼の頬に傷があったのが気になっていた。

……………が、ビクリッと肩を跳ねらせて
小夜様は私を凝視する。









『……………ごめんよ。でも頬、怪我してるよ。
嫌かも知れないけれど、見せてくれるかな』


小夜「……………」









そう私が言うと、おずおずとではあるが、
小夜様は頷いてくれた。
頬の傷は分かりにくい所にあった。
多分意識を失っていても、
無意識に隠していたのだと思う。


でなければ、小夜様をここまで運んだ
歌仙様が気づかない筈がない。









小夜「…………あの時」

『ん?』


小夜「あの時、どうして貴方は…………
助けを呼ばず………貴方を殺そうとした僕の身を
案じていたの、ですか?」


『!』









小夜様はそう言って、再度私を見つめる。
純粋な問いだった。

彼の本体を握り締めていた時…………
彼は一瞬だけ私を殺すことを躊躇した。
それは恐らく、私の思考を霊力を通して
感じ取ったからだろう。









『……………さぁ、何で、かな。
君を助けたいとは思っていたよ。
あのままだったら君は仲間から斬られていたかも
知れなかったしね』


小夜「……………僕は、貴方を殺そうとしたのに。
憎くないの?嫌じゃないの?」


『……………嫌じゃないよ。憎くも思わない』

小夜「……………」

『君は、悪いことなんてしていないよ』









そう、彼らは悪いことなんて何一つしていない。
ただ……………人に愛されようとしただけだ。
唯一無二の、信じたいものを信じただけだ。


それを、裏切ったのは人間だ。






間違えるのはいつも、人だけなんだよ。

†参佰肆拾漆†→←†参佰肆拾伍†



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冷泉 雪桜(プロフ) - おピノさん» おピノさんコメントありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね(*´ー`*) (2019年12月5日 13時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
おピノ(プロフ) - はじめまして!最近夢小説にハマって主様の作品に辿り着きました!とても面白かったので一気読みさせて頂きました。続き楽しみにしています! (2019年12月5日 11時) (レス) id: 2ba0bb6bb8 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - お気に入り様が500人突破いたしました。皆様本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします (2019年12月4日 7時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 雪月花のとびうおさん» 神様の御用人、最高ですよね!語り合える方と巡り会えて嬉しく思います。黄金達との絡みもいいですね。出来たらいつかやりたいと思います (2019年12月4日 7時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
雪月花のとびうお(プロフ) - 初めまして、こちらの作品を見つけ、一気読みさせて頂きました!私も神様の御用人、大好きなんです!いつか黄金たちが出ることを期待しております(笑) (2019年12月3日 21時) (レス) id: b36649e14a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年11月20日 19時

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