†弐佰玖拾肆† “記憶” ページ5
･
『それで、髭切様……………
御用は何ですか？私が御用人だって分かっているなら、
相応の事でしょう？』
やれやれと私は正座してそう話すと
髭切様はニコニコしながら頷いた。
……………彼、基本はおっとりしてるけど、
いざとなったら凄く怖い刀なのかも知れない。
冷や汗にも似た変な汗をかきながら、
本題に入る。
髭切「何だか不思議だね。
僕の方が加護を与えたり、
願いを叶える側なんだけどな」
『それが私の務めですから』
髭切「じゃあお願い聞いてくれるかい？」
髭切「……………僕の前の記憶を、取り戻してほしい」
その言葉を聞き届けた途端、
私はパサリと
そして
太く再度書かれたのだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『い、今………何て……？』
髭切「……………やっぱりか。
僕は二振り目なんだね」
私の反応に、納得言ったように目を伏せてそう呟く彼。
しまったと私は反射的に口を押さえたが、既に遅い。
……………嗚呼、あんなに膝丸様に言われたのに。
内心膝丸様に謝罪していると、
髭切様はふっと再び目を開ける。
その瞳は全てを悟っているようで。
私は言葉を失った。
髭切「薄々は気づいていたんだ。
君は弟に口止めされていたようだし、
中々言い出せなかったんだけど……………」
『ｯ……………ごめんなさい』
髭切「どうして？君や弟は僕を思って
内緒にしてくれていたんだろう？
謝る必要はないよ」
小烏「ふむ。して、子よ。
そこまで分かっていながら、
何故そのような願いを主に伝えた？
我も話を聞いたばかりではあるが、
事の重大さは承知している。
記憶を取り戻すと言う事は
辛い事も思い出すのと同じぞ？」
小烏丸様の言葉に、髭切様は少しの間
口を開かなかった。
それからふと私に視線を戻す。
髭切「主は、僕を出陣させないのは
記憶と関係しているのかい？」
『！』
髭切「弟が、止めていたのかな」
ここ数日、和泉守様と堀川様の一件で、
式を連れていく事を条件として、
刀剣達に何度か出陣させていた。
出陣する刀剣達はどこか嬉しそうで、
そしてより美しく輝いていた。
刀にとって、出陣は喜びなんだろう。
でも髭切様はまだ出陣させてはいない。
膝丸様がそれを良しとしていなかったからだ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» 訂正しました！指摘ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月15日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - いつも楽しく読ませて頂いております！誤字があったので、お知らせしますね。参佰陸の「見つけます」が「見つめます」になっています…。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月15日 18時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年11月11日 7時
