†参佰弐拾伍† “水の記憶” ページ36
Aside
ｿﾊﾔ「それから、俺達はこの井戸の中に
封じられたって事だ。
御丁寧に霊力が外に出ないように
結界術と、翡翠石に永遠と霊力を吸収される
完璧な防御システムと来た。
この結界術は解けない……………
だから夜蝶が治るまで待つしか無かったが、
それも果たされないまま、
この井戸の中で過ごす事になったとは」
ソハヤ様は何故か笑っていた。
開き直った……………と言うより諦めたような、
笑うしかないと言う感じな、自傷したような笑い。
主の死も知る事もなく、
ひたすら迎えが来るのを待っていたのか。
ｿﾊﾔ「九重、とか言ったか？
ちょいと頼みがあるんだが……………」
『私に出来る事でしたら』
ｿﾊﾔ「もう主はいない。いくら待っても来ない。
待つ必要もなくなった。
だから、ここから出してくれないか。
あんた程力があれば、術も解けるだろ」
少し困ったようにソハヤ様はそう言った。
気持ちは凄く共感出来る所があった。
私も同じ。帰ってこない父さんの帰りを待つ日々が
無償に虚しい事を知っている。
『……………分かりました、やってみます。
その前に、大典太様を
手に取ってみたいんですけど、いいですか？』
ｿﾊﾔ「おいおい、俺は忠告したぜ？
兄弟は霊力が強い。あんたも当てられちまうぞ？」
『大丈夫ですよ。それに………
いつまでも引きこもっていたら、
折角のものも、見れないでしょう？』
私がそう言うと、ソハヤ様はやれやれと
呆れ混じりに溜め息を吐くと、
”辛くなったら手を引けよ？“と
大典太光世を差し出してくれた。
触れてもいないのに、こんなに強い気配を感じる。
恐る恐る私はその太刀に手を伸ばした。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
“また、俺は使われぬまま───”
“今度は、側に置く事さえ、されないとは”
“俺は、何の為の───”
悲しい声がした。
波紋と共に流れてくる記憶は、切ないもので。
”何もできない刀など……………“
”嗚呼そうだ。所詮は刀だ“
”傷つける事しか、出来ない“
彼の意識の中は、まるで水の中。
暗い水底の中で一筋の日の光が頼りで、
寒くて、冷たくて、寂しい場所だった。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» 訂正しました！指摘ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月15日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - いつも楽しく読ませて頂いております！誤字があったので、お知らせしますね。参佰陸の「見つけます」が「見つめます」になっています…。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月15日 18時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年11月11日 7時
