†参佰肆† ページ15
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髭切「これは……………」
膝丸「兄者が折れる際に俺に手渡したものだ。
御守りは折れるのを防いでくれるもの。
前任の“忘却の術”を無効化出来る効果もあるそうだ。
兄者が俺に持たせてくれたお陰で、今の俺がいる」
膝丸様は苦虫を噛むように、眉を歪ませる。
多分髭切様が折れてしまった際の事を
思い出したりでもしているのだろう。
見ているだけで、胸が痛んだ。
髭切「そう……………主、触れればいいんだね？」
『はい』
髭切「……………」
髭切様はそっとその長い指で刀身に触れた。
しかし、何かが変わった訳ではない。
首を捻らせていると、髭切様はちょっと不機嫌そうに
唇をきゅっと歪ませる。
髭切「むむっ、顎丸」
膝丸「膝丸だ兄者」
髭切「刀身、足りない所があるよ。
記憶が流れてこない」
膝丸「！何っ！？そんなはずは……………！」
『？欠けている、という事ですか？』
髭切「うーん、何処かが足りていない。
ぼんやりと何かは見えたような気はしたけど」
髭切様によれば、刀身は不完全な状態らしい。
欠けている部分がないと
記憶も戻らない可能性があるとの事。
何も見えなかったっと
言う事ではないらしいが……………
膝丸「足りない……………確かに揃っている、
はずなのだが……………」
『心当たりは？』
髭切「……………閉じ込め、られた」
『髭切様？』
髭切「閉じ込められていた、場所、で……………
妖が、弟を……………」
膝丸「？兄者？どうした！？」
その時髭切様は頭を抱え、
何かを思い出しかけているのか意味深に言葉を紡ぐ。
様子がおかしい。息も荒く、汗も滲み出ている。
いつもとは明らかに違う彼の姿を見て、
私は不安になり、髭切様の背に触れて声をかけた。
『髭切様っ！？大丈夫ですかっ！？』
膝丸「兄者っ！！」
髭切「ｯ……………ｸｯ」
『一体何が……………』
髭切「───きゃ」
『……………えっ？』
髭切「殺さ、なきゃ」
ぞわりと全身全ての毛が逆立ったようだった。
殺気……………強い殺気を感じた。
瞳はギラギラと獲物を狩る獅子のように輝き、
今ので本当に殺されるかと思った。
それは膝丸様も感じたのか、
目を見開いていて……………
膝丸「駄目だ……………駄目だ兄者っ！！！」
膝丸様がそう叫んだ時、
髭切様はふっと気を失ったのか
そのまま倒れてしまった。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» 訂正しました！指摘ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月15日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - いつも楽しく読ませて頂いております！誤字があったので、お知らせしますね。参佰陸の「見つけます」が「見つめます」になっています…。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月15日 18時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年11月11日 7時
