†佰弐拾肆† ページ5
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燭台「…………主」
『！』
燭台「本当に大丈夫だよ。そんな青い顔しないで？」
『す、すみません』
目の前で屈むように私の視線に合わせて話す燭台切様。
刀達は優しい。誰一人とて、私を責めない。
いっそ責めてくれた方が、よっぽど楽だった。
傷を負いながら、戦う彼ら。
本質は彼らは道具。それが有るべき姿かも知れない。
それでも人の形を成し得た彼らは
人のように痛み、人のように涙を流す。
人に望まれ生まれた神は、皆そう。
だからこそ、傷ついて欲しくない。
おこがましい我が儘だろうか。
燭台「主、僕らは感謝してるんだよ？
僕は君を現世に連れて、突き放した。
でも君はそれでも僕らを“選んでくれた”…………
見放さず、僕らを追いかけてくれた。
確かに君が来た時は肝が冷えたけど…………
嬉しかったんだよ？」
『嬉しかった…………？』
燭台切様は私の肩に両手を置いて、
真剣な眼差しでそう告げた。
吸い込まれそうな、琥珀色の瞳は真っ直ぐ私を捉えて
本当にそうなんだと感じ得た。
私が確認するように同じ言葉を口にすると、
ぱっと彼は笑って頷いてくれた。
燭台「主、お願いがあるんだけど、
僕を手入れしてくれないかな？」
『えっ…………でも』
燭台「あ、霊力が回復してからでいいからね？」
『……………………』
じんわりと暖かくなる感覚。
燭台切様は今まで手入れを受け入れてはくれなかった。
それが、彼の口からそう頼ってくれた。
たった一言が、こんなにも嬉しいことなのかと、
初めて知った…………
嬉しかった。
『…………はい、勿論。喜んで』
燭台切様、私も感謝してる。
私を信じてくれた事、私を頼ってくれた事。
それが何よりも嬉しかったんだ。
私も、嬉しかったんだよ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます！薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね！これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました！薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年9月6日 1時
