†佰肆拾† ページ21
神社は、至極…………静かだった。
人がいっぱいかなとか思っていたけど、
殆んど誰もいない。
立派な神社だ。まるで、時が止まったかのような。
鳥居をくぐった瞬間、心が洗われるような…………
清くあれるような…………
不思議と心地のいいものだ。
私が思わず感動して息を飲む。
そんな私を無視して、獅子王様と橋姫様は
ずかずかと遠慮なしに入っていく。
…………まあ、神様だしね。お参りも必要はないか。
『大丈夫ですか？』
膝丸「嗚呼、問題ない。我々も行こう」
前田「………………は、はい」
とりあえず私は神ではないので、
手水舎で口や手を清める。神社の敷地は神の領域。
足を踏み入れる際は必ず行わなくてはならない。
穢れたまま参拝するのは失礼だからね。
それから、どんどん奥へと進む。
何もかもが、あの日見た光景だ。
本霊の髭切様に会った時と同じ景色。
そして…………ついに髭切が展示されている
建物まで着いた。
しかしどうやら入場料が必要のようだ。
私は受け付けにいた神職の人に声をかける。
「「ようこそ」」
『…………あ、入場料…………えっと』
「「五名様ですね？」」
『え"っ…………』
神職さんの言葉に思わずぎょっとした私は
バッと後ろに振り向いた。
橋姫様だけがニコニコして笑っていて、
獅子王様と前田様はキョトンとしてる。
くそっ、宇治の橋姫め…………
仕方ないので渋々財布から
諭吉を出さざるおえなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
瀬《嗚呼、千年の時を得て…………
ようやくこの目で…………》
入って直ぐに、その刀身はあった。
今でも振るえば斬れる、
恐ろしいほどに磨きあげられた刃は美しい。
照明により白刃が光輝く神秘的な光景を、
ガラス越しに橋姫様は感嘆な息をもらす。
瀬《思い出したぞ…………ようやく。
鬼となった私のこの腕を斬ったお前を…………
何故今まで忘れてしまっていたか。
私は、あの日斬られてから
祟りを恐れられ、祀られた。
しかし今は愛しい人の子の為、福の神として
穢れを払う役目を担う事になった。
獅子ノ子…………いや、髭切よ。
感謝してもしきれぬ…………
お前は復讐に支配された私を救った》
愛しいものを撫でるように、
ガラスにそっと触れて撫でる橋姫様。
平安の時代、その話は本当かどうか定かではない。
しかし彼女にとってはとても、
大切なものなのだと私は改めて知った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます！薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね！これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました！薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年9月6日 1時
