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†佰参拾漆† “巡り会う” ページ18










瀬《はあ!?忘れていたぁ!?》

『…………は、はい』


瀬《この私をこき使った挙げ句に、
約束を忘れていただと?
貴様…………私を何だと思っておるっ!!!》








護衛の前田様と共に橋姫様を
部屋に招き入れて、私は正直に話す。
私はあの後倒れてしまい、それどころではなかった。
言い訳にしかならないが、
ああするしか膝丸様を助けれなかったし…………
とそこまで話すと、ザワザワと彼女の黒髪が
ゆらゆらと揺らめき始めて、
夥しい殺気をむき出しにしながら怒鳴り付けてきた。








瀬《貴様、言った筈だぞ…………
神との約束は“契約”でもある。
破る事は許されぬ。

今こそ私は力は衰えてはいるが、
私は貴様の真名を知っている。
その気になれば貴様を本当に隠し、
生き永らえながら私の神域の中で延々と
生き地獄を味合わせてもよいのだぞ…………?》


『ッ…………!』


前田「!!それは主君に仇なすと言う意味ですか?
もしそうであれば、僕は許しませんよ」


瀬《ふん、やってみるか?付喪神よ。
貴様らは所詮物に宿りし下級の神に過ぎぬ。

“神殺し”の意味を知っての発言か。
我は瀬織津(せおりつ)。神獅子の牙でなくば、私は斬れぬ》









ニタリと彼女はまた怪しく口角をあげて見せた。
まずい。彼女は荒魂(あらみたま)の神。
下手に刺激してしまったら、この本丸が危ない。

彼女が放つ殺気は、短刀の前田様をも怯ませる程の
おぞましいもの。
どうしよう、私が何とかしないと。









??「待ってくれ。此度は全て俺の責任だ。
彼女ばかり責めないでやってくれ」


前田「!膝丸様っ!」

『!』









その時、部屋に現れたのは膝丸様だった。
もう体は平気なのか、彼はジャージの上から
戦闘服の上着を羽織っていて、
橋姫様に向かって凛とした声で語る。









瀬《…………何者だ》


膝丸「源氏の重宝、膝丸。
“宇治の橋姫”とお見受けする。
君の言う“獅子”は…………俺の兄だ」


瀬《兄…………?お前がか?》









膝丸様の言葉に、ピクリと眉を動かす橋姫様。
そして、瞬きした次の瞬間には
音もなく膝丸様の前に、ヒラリと舞い降りる。

じっと膝丸様の目を見つめる橋姫様。
私は驚いて、彼らを見ることしか出来ない。
それから暫くして橋姫様は
感嘆したようにすっと目を細める。

†佰参拾捌†→←†佰参拾陸†



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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

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