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†陸拾壱† ページ22









“ごめん、僕のせいだね”

『!?』








その時だった。頭の中で声がした。
頭に手を置いて、私は集中してもう一度聞いてみた。
すると今度ははっきりと声が聞こえた。

この声、夢で聞いた声だ。








『堀川、様?』

乱「主さん、堀川の気配がするの?」

『頭の、中で…………』




“体は大丈夫?僕もこの状況があまり
飲み込めてないから何とも言えないけれど”





『(…………君が…………堀川、国広?)』


“そうですよ”









私は口には出さず、
脳内に語りかけるように呼び掛けてみた。
そんな私の問いに答えるこの声が
堀川様なのだろう。

…………折れていたのに、あの刀身に触れてから
彼の気配は感じていた。
まだ、あの刀に宿っていたようだった。









『…………堀川様が私の呼び掛けに答えました』

薬研「まだそこにいるのか?」

『ええ。彼が言うには…………』








“君が触れたことで、残された僕の神気が活性化して、
その拍子に君に憑依してしまったみたいなんだ”


“でもこれで出来る事がある”


“僕が彼女から自然に剥がれるまででいい、
どうか力を貸してほしい”









『…………と、申しています』


薬研「成る程な、だから大将の宣之言書(のりとごとのしょ)
反応をしめしたのか」


『みたいです…………』









そんな身勝手な…………って、
神様の願い事って大抵こんな感じなんだよな。

どこか慣れた自分がいて思わず溜め息が出てしまった。
私的にもいつまでもこのままでは
後で色々と面倒なので、
仕方なく彼を受け入れる事にした。

私は宣之言書(のりとごとのしょ)に書かれた
彼の名があるページを開く。









『(では、問います。貴方の願い事は何ですか?)』







“兼さんは今でも僕の本体を守っているけれど、
僕は今まで兼さんの役に立ちたいと思ってる。

このまま、役に立たない物言わない
刀のままでいたくない。

だから、伝えてほしい………………
僕の本体と錬結してくれと”









その言葉を聞き届けるのと同時に、
宣之言書(のりとごとのしょ)に薄く浮き出ていた“堀川国広”の字は
太く、力強く墨の字で改めて上から書き準えた。

†陸拾弐† “相棒”→←†陸拾†



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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます!薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします! (2019年8月28日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています!! (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年8月20日 1時

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