＊白き焔に雪降りの舞を＊参章 (ページ8)

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捌拾漆ページ8

うちは内心焦っとった。
以前にもここでうちは仲間と
都の方で捕まった。

何をしても、何を抵抗しようと、
絶対に捕まってまう。
そして最後には“あの祭り”に強制的に
参加させられんねん。

桐ノ都で切国の兄さんを賭けた
あの祭りとは訳がちゃう。

この祭りだけは参加したらあかん。
あの祭りに参加してまったら、
兄さん達を守りきれへん…………！

切国「A？」

『朝霞言うたな。兄さんらは関係ない！
うちを連れてくのは、
あの“祭り”に参加させる為やろ！？

兄さん達だけは見逃したって！
お願いやっ！アレは、アレだけはっ！！』

朝霞《？お前はあの祭りに参加した事があるのか？
それで上手いこと逃げれたのか。
運が良かったな………誰も逃げれた事なかったのに。
でものこのこと戻って来たのは………
嗚呼なる程、付喪神を逃がすためか》

『！』

朝霞《逃がすわけ無いだろ。
折角のご馳走だと言うのに》

燭台「食べられるのは御免だね。
もう抜くよ。埒が明かない」

切国「遠慮はいらないな」

そして切国の兄さんは体術の戦闘態勢に入って、
他の二振りも抜刀して構えた。
うちが止める間もなくて、
最初に動いたのが切国の兄さんやった。

瞬時に接近した切国の兄さんは体術で
朝霧に殴りかかる。

でも朝霧はその先制攻撃を難なく交わす。
それから朝霧は切国の攻撃を受け流し、
組み付いてくる。兄さんもそれに応えて組み付いた。
今二人は硬直状態やった。

朝霧《へー、強いな。
この中じゃお前が一番強そうだ》

切国「…………何故Aを狙う」

朝霧《祭りの参加者が少なくてね。
頭首は気が短くて宥めるの大変なんだよ。
祭りは大勢いた方が盛り上がるだろ？

………そう言えばお前、何で本体抜かねぇの？
素手でも倒せるって？随分と舐められたもんだな》

切国「！」

朝霧《いや、もしかして抜けないのか？
ｸｽｯ………それとも怖いのかよ》

切国「ｯ………黙れっ！！」

朝霧の言葉に兄さんは怒りを滲ませて
足で下から朝霧を蹴り上げる。

ガードしとった朝霧は一度下がると、
背後から二つの白刃が朝霧を襲った。
鶴の兄さんと燭台の兄さんやった。

でも朝霧はぐにゃりと体を歪ませて避ける。
それは正しく蛇の体のそれで、気味が悪かった。