捌拾陸 “オニアソビ” ページ7
･
??《それはミシャクジ様より与えられた
罪の“罰”の証》
『！！』
??《大罪人の一人がこの都から逃れようなんてね。
逃げれる筈がないのによ。
初めまして、罪人共》
しもうた………よりによって
厄介な奴に見つかってしもうた。
聞き覚えのある声が背後から聞こえ、
うちは踵を返した。
そこにいたのは幼さを残す、
顔立ちが整った青年がおった。
もう嗅ぎついてきよった………
今回は上手く行くと思ってたんに。
声を聞いた途端、兄さん達はザッと
鯉口を切って構える。
切国「何者だっ」
朝霧《朝霞。罪人を捕らえる者。
まあ、この世界の住人は皆そうだけどね》
シュー………と、蛇と思わせるような音と共に、
彼は森の暗闇から姿を現す。
暗がりでよく見えへんかったけど、
肌には鱗が目立ち、
瞳はゾッとするような深い深い濁った緑。
蛇に睨まれる、とはよく聞くけど
これは言葉のまんまやないかと思うほど。
燭台「罰の証って、何」
朝霞《言葉通りだよ。この世界に堕ちた者でも
特に大きな過ちを侵した大罪人に刻まれた印。
いや、言い方を変えるとミシャクジ様に
“気に入られたオモチャ”に付けられる印》
『ｯ…………』
朝霞《その印を持った罪人は確かに
面白い事してくれるから、捕まえ甲斐がある》
『………あんたみたいなのに、
会いたく無かったよ。
逃してくれる気は………無さそうやな』
朝霞《都の頭首はお前みたいなのがご所望でね。
一緒に来てもらおうか？
この都に入った時点で、
お前らは頭首の所有物なんだよ》
鶴丸「おい、黙って聞いてみれば
勝手にAを連れて行く気か？
そいつは聞き捨てならないなぁ」
うちと朝霞と名乗った蛇妖怪の間に入ったのは
鶴の兄さんやった。
兄さんは飄々と、風に吹かれひるがえるような
口調で割って入ってたけど、
兄さんからは殺気が滲み出とった。
戦う時の、あの、目や………
彼はスッとうちを下がらすよう手で促す。
鶴丸「無理矢理連れて行こうもんなら、
お前も覚悟があるんだろう？
俺達に斬られる覚悟が」
『兄さん………兄さんええねん、放っときやっ。
これはうちだけの問題やねん。
兄さんらは見逃してくれる筈やからっ』
鶴丸「きみは下がれ」
『あかんねんっ！ここで事を起こしたら………！』
あかんねん。また、同じようなってまう。
前の仲間と同じように………！
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
