佰陸 ページ27
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一期「ｯ……ど、して………」
??「………殺生はあまり好まないが、
同胞を見捨てるほど、
薄情ではないと自覚しているからな。
彼らを死なせる訳にはいかない」
その場にいた者は、一人除いて行動が出来なかった。
それは、迷いなく一期一振“だった者”を
心臓目掛け、背から刃で突き刺している。
そしてその者が一気に引き抜くと、
一期一振はゆらりと体を傾かせ、
重力に従い、倒れ伏した。
燭台「………驚いたよ、まさか貴方に会えるなんて」
燭台切の言葉と共に、
それは返り血を振り払い、刀を収める。
鶯色の髪、スラリとした体格。
そして顔を上げた青年は、
ゆっくりと一行に振り向いた。
古備前、友成の作“鶯丸”。彼であった。
not,side〜end〜
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鶴丸side
鶴丸「鶯？」
この感じ、間違いない。
“俺と同じ本丸所属の鶯丸”だ。
俺以外にも同じ所属の仲間が居たのか。
予想外の人物に、驚きを隠せない。
鶴丸「な、なぁ、鶯なんだな？
俺と同じ本丸の所属の」
鶯丸「…………鶴」
驚いていたのはあちらも同じだったようで、
俺の声を聞いた鶯は、同じように目を丸くしていた。
だが、鶯は………何故か再会を喜ぶ様子も無く、
複雑そうな、そして………どこか俺を懸念したような
そんな感情が渦巻く眼差しを俺に向けていた。
その時、倒れ伏していた一期一振は
這いつくばって、鶯の足にしがみついて来た。
すると鏡が一瞬煌めいた。
鏡に写った一期の姿は、一期一振の姿ではなく、
黒い蛇の妖魔だった。
その姿を目視した鶯は再び抜刀し、
とどめを刺す。
一期一振だった者は、
瘴気の黒い霧と共に消え去った。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
