佰 ページ21
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『この祭りは都の頭首と住人の娯楽の為に作られた。
簡単に言うたら”殺戮のレース“
参加者しとる者は残らず殺される。
生き残るには最後の一人になるしかない。
けど、最後に残ってもどっちみち死ぬんやけどな』
一期「殺、戮………！？」
鶴丸「まるで……”
『そやな。蠱毒とほぼ変わらへん』
切国「こどく？何だそれは」
鶴丸「古い呪術の一種さ。平安時代から伝わる儀式。
生き物を同じ容器で飼育して、互いに共食いさせ、
勝ち残ったものが神霊として祀る。
祀った生き物の血液が毒になって、
飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、
思い通りに福を得たりするって言う
人間が編み出した危険な儀式だ」
『そう。これはこの都の頭領が行う
“大規模な蠱毒の儀式”なんよ。
生き残っても、それは頭領の貢物として捧げられる。
そうやってこの都の頭領は力を得る。
容赦なく、殺しにかかる。
これは切国の兄さんに会ったあの祭りと似とるけど、
その時よりもスケールがでかい』
うちはそう説明しながら、山道を歩く。
茂みの方へ兄さんらを誘導し、裏道を案内した。
ここは前にも来たことがある。
使えそうで良かった。
本来歩くべき山道から距離をとって、
兄さん達に息を潜めるように伝える。
燭台「………なる程。
君が言っていた最初の難問って、あれの事だね」
その時、燭台の兄さんが立ち止まって、
来た道に振り向きながらそう呟いた。
皆も兄さんの言葉に振り向いた。
後ろには正規ルートの山道が見えとったけど、
そこには……………
グチャッ…………
グシャグシュ……
切国「ｯ………」
一期「ぁ、あぁ…………」
鶴丸「あれは………山犬の群れか。
派手に喰らってやがる」
正規ルートの後方は既に、
赤く染まった道と化していた。
唸り声を上げながら、口を赤く染めた山犬が
嫌な音を立てながら人だったモノや
妖魔だったモノの血をすすり、肉塊を喰っとった。
『…………あの山犬は頭が悪い。
本能で動いて、飢えを凌ごうと何でも喰う。
けど、あの山犬らはこのレースの為に
買われとる犬や。
せやから余計な探索をさせんように
嗅覚と聴覚をもがれとる。
鼻が効かへんから、
うちらが今通っとる獣道を通れば
姿も隠れれるから見つからへん。
………このまま行こか』
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
