玖拾弐 ページ13
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朝霧《ふーん。付喪神が妖魔の心配、ねぇ？
蝶の印を刻まれたこの罪人の身を案じるとは。
随分と物好きだな》
『あ"っ！ぐ、』
鶴丸「Aっ。………Aに何をした！」
彼は血塗れの彼女を投げ入れる。
鶴さんが慌てて彼女を受け止めると
今までにない程彼は蛇君を睨みつけていた。
朝霧《見世物にしたんだ》
鶴丸「………は、？」
朝霧《今から祭りが始まると言ったろ？
見世物にしたんだよ。祭りの開幕を飾るには
丁度良かったんでねぇ。
ちょっとやりずぎたかな？
腕をもぎ取り、体に杭を打った。
いい声だったぜ？》
その言葉に、気後れが胸の奥に重くよどむ。
発言自体が狂っていた。
何を言っているか分からない。
僕らは人斬りの道具ではあるけれど、
それじゃあまるで………本当の罪人を罰するような、
公開処刑にも近いもの。
いや死ねるならまだいい。
彼女は確かに言っていた。“死ねない”と。
今鶴さんに抱えられている彼女は
確かに腕はある。
まさか、再生したと言うのか。
朝霧《面白い顔だな。断末魔はこの世界にとっては
魅惑的な娯楽。お前らだって人殺しの道具なんだ。
この娯楽は分かると思うが》
切国「……卑劣、極まりない、な…………
お前の、言っている意味が………分からない」
鶴丸「………調子に乗るなよ、妖魔風情が……
顔を見るのも不快だ。
さっさと消えてくれ、殺したくなる」
朝霧《心地良い殺気だ。良いな。
殺したくなる程の斬殺欲でも出たか》
鶴丸「もう一度言うぞ、消えろ。
今すぐ殺してやりたいくらいだが、
それではお前と同じになる。
それだけは御免だ。
こちらにもプライドがある」
朝霧《残念。そうもいかない。
これから大いに盛り上がる。
お前らにも参加してもらうからな。
それにしても………運が良いねぇ。
その罪人が居なきゃ、
今頃見世物になったのはお前達だったよ》
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
