＊白き焔に雪降りの舞を＊参章 (ページ12)

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玖拾壱　“開幕” ページ12

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一期「気づいた時にはこの世界に居ました。
それ以前の記憶はありません。

ここがどう言った世界であるのかは
これまで渡り歩いてきたので把握してはいます。
幽世から出る為に、情報を求めて
菊ノ都までやって来たのですが、
それまでは…………」

そこまで一期君は説明した時、
彼はハッとして辺りを見渡した。

何か探しているような様子で、
目的のものが無いと分かるとサァッと
血の気の引いたように顔を青くしていた。

一期「あ、の………皆さんっ！
これまでに後藤と包丁を見ませんでしたか！？
一緒に居たはずなんです！！」

燭台「………見てないね」

切国「逸れたのか」

一期「嗚呼、そんな、私が付いていながら……」

鶴丸「そいつは大変だ。
参ったな。俺達も連れと逸れてしまったし、
はてさてどうしたもんか」

切国「燭台切、檻を切ってくれ」

燭台「本体が無いとどうしようもないかな。
青銅は確かに切ったけど、
無茶言わないでくれよ」

流石にこの頑丈そうな檻は切れない。
刃こぼれでもしたら溜まったものじゃない。

それにしても一期君は後藤君と包丁君と
一緒だったのか。
存外この世界に堕ちるのは
知った顔が多いようだった。

その時、ガシャンと
重い金属音が響いて、少し光が差す。
光が差す方角に振り返ると、
そこにはさっきの蛇妖怪が居て、

彼が持っていたのは………

『ぅ、………』

「「「！？」」」

朝霧《あれ、もう起きてんじゃねぇか。
付喪神とやらの眠りは浅いのかな？》

切国「な、Aっ」

血だらけのあの子だった。
普通の人間だったら思わず目を
覆いたくなりそうな程の酷い姿で彼女は帰ってきた。

体中に釘のようなものが刺さっている。
よく見ればあちこち切り傷が目立った。
血が止めどなく流れて、
一見だと死んでしまったんじゃ、とか思った程。

とにかく酷い状態だった。