肆拾伍 ページ6
そうして、うちが二振りに
呼びかけた時やった。
ボコリと地面が膨れ上がって、
土ん中から骨の腕が生えてきた。
反応が遅れて、うちらの足を骨の腕が
がっしり捉えて、うちらは動けなくなった。
ジジッ………っと嫌な音がする。
それは二振りの着物の裾が徐々に
腐蝕していく音やった。
切国「しまっ………ｸｯ」
『！！兄さん達っ！？』
鶴丸「ｸｿｯ………！」
うちは切国の兄さんに抱えられたままやったから
何ともあらへんけど………二振りの足は
どんどん黒く変色して行った。
あかん、穢れを受けてまっとる。
鶴丸「きみら下がれっ！」
『ｯ…………！』
慌てて火で焼き祓おうとした。
けど、その前に鶴の兄さんがうちの前に出て、
うちを庇うような体制となった。
んな、阿呆な事せんでもうちはそんな事じゃ
死なへんし、庇う必要もない。
このままやと鶴の兄さんが危ない。
そう思っとった瞬間、
ザキンッ！！
鋭い白刃の一線が
髑髏共を真っ二つに両断する。
力強い一閃やった。恐ろしいと感じる程の剣使い。
すると“大丈夫？”と言う、
穏やかな口調でありながら、
どこか冷たい声音が降ってくる。
見上げると、そこには全身真っ黒なモノがいた。
うちが呆然としとると、二振りは目を丸くしとった。
??「怪我はないかな…………て、あれ？
やっぱり、鶴さんに山姥切君じゃないか」
鶴/切「「み、光坊っ/燭台切っ！？」」
…………どうやらまた神様が増えたようやった。
Aside〜end〜
───────────────
鶴丸side
燭台「知った気配がしたから行ってみれば……
鶴さんと山姥切君だったのか。
無事で良かったよ」
そう言って光坊は笑って刀を収めた。
この光坊も別の本丸所属っぽいな。
山姥切が居た本丸とも違うようだった。
まさか幽世で光坊に会うとは思わなかったぜ。
だが、何だ？俺が知る光坊とは少し違う。
そりゃ分霊だし、本丸事に個体差はあるのは
別におかしな話ではない。
しかし目の前にいる光坊は、一体？
燭台「駄目じゃないか、二振り共。
あれぐらいの妖怪、君達なら倒せただろうに」
鶴丸「(…………光坊は、こんな冷徹な目を
するような奴だったか？)」
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
