漆拾参 ページ34
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鶴丸「きみはここから出たいのか」
その言葉が、やたら胸に刺さった。
うちが叶えたいモノ。うちの望み。
それがうちの………
目を伏せ、今までの事を振り返る。
うちの罪。うちが侵した罪。
今までずっと引きずっとった、うちの贖罪。
そして目を開ける。
そこにはうちの返答を待つ付喪神達がいた。
『…………出たいよ。ここから出たい。
暗いのも、独りになるんも………嫌や』
鶴丸「きみ………」
『ごめんな。うち、兄さん達を利用してたねん。
出たい。早く出たくて、早く現世に行きたくて。
せやから、うちは全力で兄さん達を
助けたいと思っとる。
うちにあるのはこれだけ。
必ず、生かして兄さん達を送るから………』
もう嫌やねん。誰かが死ぬ、誰かが殺される。
そないな景色見るのも飽きた。
目の前で、なぁんにも出来んまま………
生きながらえてきた。
うちは死ねない。うちは放っておけば
体は再生するから………
何度も、何度も、ミシャクジ様に立ち向かって、
その度に仲間を失った。
大切な人も、居なくなった。
そしてうちだけが残るんよ………
も、う、ホンマに嫌やねん。
鶴丸「…………そうか。
なら、一緒に行かなくてはな」
『！』
鶴丸「きみがいなければ、
俺達はここまで来れなかったし、
下手をしたら死んでいた。
俺達にはきみが必要なんだ」
『兄さん………』
…………嗚呼、ホンマに嫌になる。
暖かくなるの、本当に…………
絆を持てば、辛くなる。痛くなる。
でもやっぱり憧れる。
鶴丸「さて、次に行くか。
もうこの都には用はない。
社もなかったしな」
燭台「鶴さんの主はお人好しだったのかな」
鶴丸「かもな」
切国「あんたらしいな」
鶴丸「だろう？ほらA、きみがいないと
迷子になってしまうなぁー。
道案内してくれなきゃ何処へ行ったらいいか
分からないぞー」
……………ホンマに、あの刀は。
『………ﾌﾌｯ……(敵わないなぁ)
兄さんら、前の都に行く気なん？
次の都はそっちやないでー』
Aside〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
