漆拾 †感と情を失った神様† “終” ページ31
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鶴丸「！きみ、奴と会ったか？」
燭台「その感じだと鶴さんもか」
鶴丸「…………何者だ。あれは。
いや、粗方予想は出来るがな………」
燭台「きっと彼が、妖魔君の言う………
“ミシャクジ様”、何だろうね」
鶴丸「危険な奴だったな。
俺達付喪神じゃ太刀打ち出来ない、
禍々しい神だった………
それだけ名の知れた強い神。
所詮俺達は神の末席たる存在。
………アレには、勝てない」
燭台「だろうね。あれが祟り神
ミシャクジ様、か………
数ある幽世の一つであるこの世界を統べる、神」
鶴丸「あの神の目を回潜って、
社の鳥居を潜る必要がある、と………
Aは言っていたが」
燭台「彼の口振りは、僕らの様子も筒抜けかもね。
まあいつまでも監視は流石にしていないかもだけど」
鶴丸「弄ばれた気分だな。いい心地はしない」
燭台「で、収穫はあった？」
鶴丸「一応。きみの方は？」
燭台「…………無かった。と言うかどの資料に
手を伸ばして見てみても、
悪趣味なものしかなかったよ。
ごめん。上手く情報は集まらなかった」
鶴丸「いいさ。さて、ならここに居ても仕方ない。
もしかすると俺が捕まっていた事もあって、
俺が手に入れた情報は確かな物の可能性は高い。
恐らくこれ以上探しても
きみが見たような悪趣味な内容のものしか
出て来なさそうな気がしてならん」
燭台「そうだね。戻ろうか。
情報、後で聞かせてね」
その時ふと、鶴さんは
壊れてしまった人形を見つめる。
鶴丸「人が恋しく、恨み、ここに留まったのか。
俺達と元は同じ付喪神。
何だかやるせないな」
燭台「へぇ、鶴さんがそれを言うのは珍しいな。
君の主がどんな審神者だったか、
ちょっと知りたいくらいだよ。
…………僕は────」
鶴丸「ん？」
燭台「…………………………いや、何でもない。
やっぱり主の事は思い出せないな」
僕は紅葉君や、そう言える鶴さんが…………
“羨ましかったよ”────
燭台「────もう行こっか」
燭台切side〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
