＊白き焔に雪降りの舞を＊弐章 (ページ23)

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陸拾参ページ23

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『そこの傘の九十九神はん。
ちょっと聞きたいことあるんやけど、ええ？』

傘《あん？》

『ミシャクジ様のお社に行きたいねん。
行き方、教えてくれへん？』

傘《ミシャクジ様のお社だぁ？
お前、妖魔だろう。
妖魔如きが会っていいお方じゃねぇよ。
さあさあどっかいけ。シッシッ！》

『そこ何とかならへん？？
うち幽世に来たばかりやねん。
挨拶ないんはミシャクジ様に失礼やろ？』

傘《あの方はこの幽世を統べる神の一柱だ。
毎日忙しくも、この幽世と現世を
お守りしている存在で、我々“罪人”に罰を与え、
新たな生を与えてくださる方。

お前何ぞに構ってるお暇はこれっぽっちもねぇよ！》

………まあ、こうなるわな。
この紅葉ノ都は特別、九十九神が集い、
妖魔を近づけさせない領域。

だから九十九神は妖魔を嫌う。
食べられるような嫌な思いをした経験のある
九十九神がぎょうさんいてはるから、無理もない。

面はしても、妖魔やって事はバレてまうから、
思った通りの反応で肩をすくめる。

『(ケチやなぁ………自分だって
“妖になりつつあるから”この幽世に堕ちたやろに)』

傘《生意気な妖魔だなお前。気に食わねぇ。
あー臭ぇ臭ぇ！品のない瘴気振りまく悪鬼め》

『(うち瘴気はないんやけどなー………
よっぽど妖魔が嫌いなんか)』

傘《早く紅葉ノ都から出てけ出てけ！！》

『！』

あ、ヤバい殴られる。
傘の九十九神は案外短気なようで、
うちに向かって手を上げた。

これやからこの世界の住人は。
どうしようなぁ。面倒事にしたくないし、
騒ぎになれば迷惑かかるんやけど………

………痛いのは嫌やけど、
殴られてこの場が収まるんやったらええか。

切国「おい」

傘《あ？何だぁ？……………！？
お、おか、お刀様っ！？》

『？兄さん』

切国「黙っていれば、どう言うつもりだ。
答えるだけで済む筈の話だろう」

傘《な、何でお刀様が妖魔なんかを
庇ってるんだ！？》

切国「…………答える気が無いなら去れ」

傘《ﾋｯ………！》

『あ、』

あーあ、行ってもうた。
難しいなぁ。この都で情報を集めたほうが
色々と都合がいいのに。

これは鶴の兄さん達の情報に頼るしか無いか。

でも、庇ってくれた兄さんには悪い事したかな。