陸拾弐 ページ22
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『で、兄さんはもう動いて大丈夫なん？』
切国「傷も塞がった。大丈夫だ」
『ならええけど』
切国「燭台切達は都の書物庫に行ったんだろう？
こちらでも何か情報を得よう。
その方が効率もいい」
『せやけど………』
切国「何か不都合な事でもあるのか？」
切国の兄さんはそう言って、
うちに疑問を投げかけてきた。
不都合………は、まあないっちゃないんやけどなぁ。
うちあんまし店から出たくないんやけども。
『(…………兄さん達の為やしな)
分かったよ。うちらも調べに行こか』
切国「嗚呼」
『で、どう調べるん？後の二振りは多分
終わったらお店戻ってくる筈やけど。
あまり店からは離れられへんで？』
切国「そうだな。だが聞き込みくらいは
出来る………と、思う」
『兄さん、交渉大丈夫？』
切国「平気だ。多分」
………明らかに挙動不審なんやけども。
そうやんな、苦手そうやな。
でもなんか健気で応援したなるな。
うう、そんな迷った子犬みたいな
顔せんといてよ……顔が眩しい。←
『………ちゃんとうちも行くよ』
切国「助かる………俺はあまり交渉は得意じゃない。
あんたの事はちゃんと守るから、
その、一緒に来てくれ」
『(断れる気がせんわ)』
断る気もないけども………
と言う事で兄さんと一緒に、
少し街を探索する事にした。
───────────────
『でもなぁ兄さん………うち交渉は出来ても、
この都でのうちの立場、最悪なんやよ。
あんまし期待せんでな？』
切国「？」
店の外に出た。
都は栄えてて、赤い提灯が街を照らして、
今までの都の中では幻想的にも思える光景。
そんな中を九十九神達が行き行きしてる。
うちの場違い感が凄いなぁ。
妖魔であるうちが、こないな所に居たらそら浮くわ。
一応神の都やし。
何て思いながらうちは面で顔を隠した。
まあ九十九神とは言え、妖怪と変わらへん。
面してれば大丈夫な筈………
『(とか思いながらフラグ立てたろ)』
面白い事になるかも知れへん。←
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
