伍拾漆 ページ18
･
カァカァー！
バサバサ
しばらく歩き、鴉が集る姿を見ながら進むと、
不気味な屋敷に辿り着いた。
ここがこの都の書物庫らしい。
空気が淀んでいるな。
あまり長居したくないような気持ち悪さがある。
鶴丸「ここキツイな………」
燭台「大丈夫？鶴さん」
鶴丸「なんとかな」
………こんなに空気が淀んでいると言うのに、
やはり光坊は何も感じていないようだ。
涼しい顔をしている。
だが光坊が感じないのは触覚的なものだ。
ダメージはある筈。
僅かな変化も気にしてやらないと、
光坊、ポッカリ逝っちまいそうだな。
よっぽど大丈夫だとは思うが。
鶴丸「入るか。物音は………しないな」
燭台「室内戦だとキツイかな」
鶴丸「何か現れたら無理に戦うことはないさ。
調べに来ただけなんだ。帰ることを優先しよう」
───────────────
中に入れば、埃っぽい空間になっており、
かなり暗めだ。
明かりは蝋燭の小さな火が点々とあるだけ。
だが壁が何層もあり、
全て巨大な本棚であることが分かった。
調べるのは………時間が掛かりそうだ。
燭台「うわ、凄い量だね。全部は無理そうだ。
絞り込むしかなさそうだけど………」
鶴丸「とりあえずはこの世界について
知れればいいんだがなぁ」
燭台「ならそれらしいワードで調べてみようか」
鶴丸「あまり良くない気を感じる。
効率は悪いが、固まって調べようか。
おっと、燭台を切るなよ？」
燭台「はは、流石に切らないよ」
なんて冗談いいながら燭台を持って移動する。
足音が響く以外の音がない。
それが更に不気味さを滲み出していた。
そしてそれらしい単語を基準に
少し漁りながら調べてみる。
調べてみるうちに分かったのは、
この書物庫にある書物は大体が“物語”だった。
資料らしい資料はない。
そんな中で見つけた書物に目が止まる。
“地獄”
と言うものだった。
鶴丸side〜end〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
