＊白き焔に雪降りの舞を＊弐章 (ページ13)

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伍拾弐ページ13

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??《お？おいそこの！その血塗れのあんちゃん方。
どうしたんだ？妖魔にでもやられたか》

鶴丸「(………九十九神)」

するとさっそく声をかけられた。
まあ言われてみれば俺達は
血塗れの異様な姿だからな。

それと同時に、Aは顔を隠すように
用意していたであろう布面を被る。
A曰く、“鬼”である彼女にとっては
ここは少し浮いてしまう存在なんだとか。

妖怪に近い俺達に似て似つかわない
九十九神が住まう世界。
………付喪神よりもやはり妖に
近い妖気は確かに感じた。

燭台「そんな所かな」

??《そりゃ大変だ。あんた達は………
おぉう？？何だ珍しい。お刀様じゃないか。
最近は滅法見る事がなくなったが。

大変だ、背にいるあんちゃん、かなり重症だ。
危ねぇからあっしの所に来るか？》

燭台「………どうする？」

鶴丸「行くしか無いだろ。
山姥切に大分無理させてしまった。
休ませてやりたい」

鎌錆《あっしは鎌錆(かまさび)って呼ばれてる。
名前の通り、鎌の九十九神。

お刀様のような立派な名前はないから、
そう呼んでくれ》

───────────────

鎌錆と名乗った鎌の九十九神は
快く家を案内してくれた。
何でも鎌錆は“磨屋”何だとか。

手入れ道具も一式揃っているらしく、
俺達の本体を見て察したのか、山姥切の為に寝床と、
手入れ道具を持ってきてくれた。

ありがたい。俺達は審神者が居なきゃ
手入れは出来ない。

自分の事だから多少は自分で
手入れは一応出来るが、
その肝心の審神者が居ないから
万全とはならないだろうが、無いよりマシだ。

傷は少しでも癒えたほうがいい。

鎌錆《しかしお刀様に会うのは数十年ぶりだな。
この都は初めてでしょうに、よく辿り着けましたな》

鶴丸「まあな。鎌錆、助かった」

鎌錆《なんのなんの。
自分も本体の錆びが酷かったりするもんで、
良く自分で手入れするからよ。

ついでに磨屋だ。お刀様から見れば………
うちは薬屋になんのかな》

鶴丸「(………名乗るのはまずいか)」

鎌錆《あ、名乗らんのは正解だ。
お刀様は高貴な付喪神。名も無き九十九神である
我々とは格が違う。

無闇に名乗らんのが見の為だ》

鎌錆はそう言いながら、せっせと研ぎ石だの
打ち粉だのを手際よく用意していた。
そうか、鎌錆は鎌の九十九神と言っていたな。
俺達とは違って固定な名は無い。

道理で歓迎される訳だ。