伍拾壱 “人形の都” ページ12
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『ここから“紅葉ノ都”やで。
ここは別名“人形の都”………兄さん達みたいな
ツクモ神が集う都。
この世界にしては平和な都やで。
………トチ狂っとるんは変わらへんけど』
しばらく歩くと、神社の山道のような石畳沿いに
広がる都が見え始めた。
瘴気も薄い。空気が晴れたように居心地が良かった。
Aによれば、この都には俺達と同じく
ツクモ神がいると言う。
『この都のツクモ神は
この世界に存在する事を許された神なんよ。
兄さんらを妖魔に売るような事はせぇへんから
安心してな？』
燭台「神は君達妖魔にとって
いいご馳走じゃなかった？」
『だって、この都におるツクモ神は
“祟り神”やもん。ほぼ妖に転じているようやもんや。
他の妖魔と同じく、喰えば力を得る』
鶴丸「な、なる程な………
狂っているってそう言う事か」
『人間に捨てられて、恨んで、憎んで………
欠落したモノらがこの幽世に送り込まれる。
堕ち神とまでは行かへんけど、
行き場を無くしたツクモ神が身を守るために
この都に集結した。それが紅葉ノ都の始まり。
………って、聞いた』
燭台「道中で話を聞いたけど、
そのミシャクジ様？も“祟り神”じゃなかった？」
『ミシャクジ様は特別。
………と言うかあの神は別に
誰も恨んでも憎んでもあらへんよ。
ただ、面白がっとるだけや。
“祟りそのものを司る”のがミシャクジ様やからな』
“もしかすると兄さんらもミシャクジ様の好奇心で
幽世に送り込まれたかもな”
と、Aはそう言った。
もし本当だったら本当に嫌だな。
ミシャクジとやらはからかう相手の
反応を見て楽しむってか？悪趣味だな。
まあ悪神に悪趣味もないか。
『人に近くに存在するのがツクモ神。
人の傍に最も近しい神で、人に未練があるから
この世界のツクモ神は皆“人の形”をする。
せやから“人形の都”。
まあうちが調べて見つけた話やから
本当かどうかは知らへんけど』
“でも気をつけてな”
“惑わせてくるのが祟り神”
“騙されへんようにな”
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月6日 12時
