+参佰参拾漆+ ページ17
･
『ﾊｧ…………(戻ろう………)』
何を考えても答えは見出だせなかった。
考えても無駄だと判断した俺は
大人しく今度こそ寝床に戻ろうとした時だった。
近くで誰かの気配を感じた。
弱々しくて、今にでも消えそうな気配。
人より優れた俺の耳や目は、自然とその気配を探していた。
誰かいるのだろうか。
自分の勘を頼りに、まるで導かれるように
俺の足は寝床ではなく、別の場所に向けられたのだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『ｯ………！』
その誰かの気配は、壬生寺の廊下。
寝間着のままで、力尽きるように倒れていたのは新田だった。
『新田！？』
俺は以前よりやつれた新田の体を起こした。
苦しそうに息をしている新田。
そしてようやく俺の声に気づいて目を開けてこちらを見た。
新田「山、ちゃ……？」
『何でこんなところに………！死にたいのか！？』
新田「………………会える、気がしたんだ」
『？会え、る……？』
いかにも俺に見つかった事に若干顔が
ひきつっていた新田は観念したようにそう呟いた。
俺はとりあえず彼の腕を腕に回して
先程まで彼がいたであろう部屋まで運ぶことにした。
その最中、新田は遠くを見つめるように、
悲しみを帯びたような目を月に向けていた。
新田「今日、さ………体が、軽かったんだ。
会いにいけるんじゃ………ねぇかって………
そう、思ったら………
体が勝手に動いちまったんだ」
『………誰に……』
新田「俺の姉貴さ………姉貴は強くて、
いつも俺の目標だった。
けど、そんとき俺ぁまだまだ餓鬼でよぉ、
喧嘩別れして、それっきりだ…………
なのに急に会いたくなったんだ。
変な、話だろ………？」
耳元で掠れた声で話す新田。
俺はそこで悟ってしまった………
何となくだったけど、多分新田は………もう………、
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冷泉 雪桜(プロフ) - ひゃくまるさん» コメントありがとうございす！そうですね。いつか書けたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね！ (2018年12月26日 15時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - これから山野さんがどんな風に成長していくか楽しみです！作品を読んでて思ったことが山野さんは辛いこととか抱え込んでしまうキャラなのでいつか誰かを頼れるようになるといいですね(*´-`) (2018年12月26日 1時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
なや(プロフ) - 返信ありがとうございます！これからも楽しみにしております(´∀｀*) (2018年12月2日 21時) (レス) id: 47f47e69bf (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんとこの小説を結びつけてくれたのも新選組が紡いでくれた縁だと思います。更新が遅い日々が続いてしまいますがこれからもよろしくお願いします(*´-`) (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんコメントありがとうございます！私はただ誰かと共感したくて自己満で書いただけですが、なやさんのような人に読んでもらえるなんて私としても嬉しく思います。 (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2018年7月10日 16時
