+参佰弐拾壱+ ページ1
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『安藤、新田。邪魔をするよ』
池田屋の事件から数日が経った。
俺はとある部屋を訪れる。
中に入れば二つの布団が並んでいる。
そこには同士である安藤と新田が横たわっていた。
池田屋の騒動で二人は重傷を負ってしまった。
生きている間に、何とか二人は峠を越えたが
未だに生死をさ迷っている。
特に安藤の方は体内の臓器に傷が出ているとの事。
俺は定期的に顔を見るようにはしているが、
素人の俺でも分かるほどに、二人の顔はやつれて
容体はあまりよくないことが分かる……
新田「？………ょう、山ちゃん…………
また、来てくれたのか？」
『嗚呼。雪村さん。お願いします』
千鶴《あ、はい………！》
新田「？何だ………雪ちゃんも、来てくれたのかよ。
ﾍﾍｯ………こりゃあいい。
あんまり雪ちゃんとは、話したことなかった、から………
いい機会、だな…………
酒を、飲めたらどんなに、良かったか………」
『駄目だ。我慢してくれ』
千鶴《晒しを変えますね、新田さん》
そう言って、雪村さんはそっと新田の肌に触れた。
新田は薄く笑って、雪村さんの手を受け入れる。
雪村さんは医者の娘である為、
看病をしにたまにこの部屋に来る。
医術を持たない者が多いため、彼女の存在は大きかった。
新田の表情はさっきよりも和らぎ、
安らかな表情となる。
優しい手は、滲んで汚れてしまった晒しを
丁寧に外して行き、新しい晒しへと変えていく。
この時、無償に俺は無力さを感じた。
仲間になにもしてやれない。
俺は戦う事しか知らなくて、
生きる事しか分からなくて…………
ただひたすら、雪村さんが羨ましかった。
『(戦う事しか知らない、か)』
人を斬り殺しておいて何を今更…………
俺は雪村さんのような存在にはなれない。
あの優しい手にはなれない、穢れた手。
でもそれが俺が選んだ道。
分かっているのに………
胸の奥が締め付けられた。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ひゃくまるさん» コメントありがとうございす！そうですね。いつか書けたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね！ (2018年12月26日 15時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - これから山野さんがどんな風に成長していくか楽しみです！作品を読んでて思ったことが山野さんは辛いこととか抱え込んでしまうキャラなのでいつか誰かを頼れるようになるといいですね(*´-`) (2018年12月26日 1時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
なや(プロフ) - 返信ありがとうございます！これからも楽しみにしております(´∀｀*) (2018年12月2日 21時) (レス) id: 47f47e69bf (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんとこの小説を結びつけてくれたのも新選組が紡いでくれた縁だと思います。更新が遅い日々が続いてしまいますがこれからもよろしくお願いします(*´-`) (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - なやさん» なやさんコメントありがとうございます！私はただ誰かと共感したくて自己満で書いただけですが、なやさんのような人に読んでもらえるなんて私としても嬉しく思います。 (2018年12月1日 23時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2018年7月10日 16時
