参拾陸話 ページ37
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ｵｼﾗ《気づいていたのですか………》
燭台「僕からも。ありがとう。
君が主の居場所を教えてくれたから
ここまで来れた」
ｵｼﾗ《いいえ。私は所詮、力の弱い神。
この人形の器が無ければ自力では動けないような
そんな名も知れない神。
ただ、貴方達付喪神と同じく、
人を愛してるだけ。だから守る。
それだけの存在》
『オシラ様………』
ｵｼﾗ《貴方達にはもう、
あの神が近づく事はないでしょう。
これは私の気持ち。
細やかながら、貴方達に加護がありますように》
オシラ様の人形の小さな手は私の手を握り、
そして額を当てる。
ふわりと何かが、私を包んだような気がした。
そして童子の神は無表情ながら、
微笑んだようにも見えた。
ｵｼﾗ《神々は、いつも人の子の傍に。
愛しい人らよ。どうか、いつまでも健やかで。
帰りなさい。貴方の帰るべき場所へ………
人の子らが私を必要と無くなるその日まで、
私は貴方達を見守っています》
───────────────
乱「主さんっ！！」
五虎「主さまっ！」
薬研「無事か！」
燭台「！ぁ、良かった……皆無事だったんだね」
薬研「！？おいおい………！
旦那、重症じゃねぇかっ！」
山道を下っていくと、
短刀の三振りが出迎えてくれた。
血だらけの私と燭台切様の姿を見るなり
血相変えて駆け寄ってくれる。
薬研「かなり奥まで突き刺さってるな………
あの神に何された」
『崖から突き落とされて、
それで燭台切様が、私を庇ってくれて傷を………
…………事情はまた後で話します。
私は山道を通った時の擦り傷しかないから、
とりあえず早く彼を
手入れ部屋に連れて行かないと』
五虎「ごめんなさい主さま……」
乱「僕達がしっかりしてたら………」
『大丈夫だよ。騙されてしまっていた
私がいけなかったから。
探してくれていたんだね。ありがとう』
燭台「それより………君達の方、は……？
大丈夫だった？」
薬研「倒したが、ただの人形だった。
中身か本体が大将達の所にいると考えて
探していた所だったんだが………」
燭台「そ、う………なら………いい、や…………」
ドサッ………
『！！燭台切様っ！！！！』
Aside〜end〜
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
