弐拾弐話 ページ23
燭台切side
『必ず帰ります。今度は私が、守ります。
………もっと、貴方や皆と……居たいから。
ちゃんと帰りますよ。本丸に』
燭台「！」
今、主……“居たい”って言ってくれた？
僕の腕を肩に回して、支えてくれる彼女が
ふと僕の耳元でそう言った。
その言葉を聞いて、
僕は12歳の頃の彼女を思い出した。
平成の世の任務で、当時の彼女の護衛をしていた時。
その頃の彼女は一人であろうとしていた。
でも、友達も作れなくて、命を狙われる毎日。
小さい時の彼女を見るのは、辛かった。
僕達が帰ろうとして、彼女は引き止めた。
寂しがりで、一人が怖いのに
優しさからのと、期待をしないようにのと………
彼女はどこか一線を引いていて。
それはつい最近までそうで。
力になれない自分が歯がゆかった。
それが、今………彼女は“居たい”と言ってくれた。
何度か似た言葉を言っていた彼女だけど、
今の言葉は確かに彼女の本心からのように。
燭台「………貴方、“や”？」
『え？』
燭台「今、僕ともっと一緒に居たいって」
『こんな時に何言ってるんですか………』
燭台「嬉しいんだよ。
それって“そう捉えていい”って、事か、な？」
『…………………』
燭台「ふふ……顔が、赤いよ？」
『………私今怒ってるんですからね。
息も絶え絶えなのに、今言うんですか』
燭台「今言いたかった、んだよ………」
ふらつく僕を支える君は、必死で………
それでも前を向いて居る。君らしくて、安心した。
僕の愛しい主………
燭台「………(だから、あんなものに……
彼女を渡す訳にはいかない)」
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
