弐拾話 ページ21
･
『ぅ………』
ふっと意識が浮上して、私は目が覚めた。
衝撃が強かったのか頭がクラクラする。
？生きてる………かなり高い所から
落ちた筈なんだけどな。
ボーッとしていたのがハッキリするのに
時間がかかった。
??「………大丈夫？」
『………ぅ、く……』
??「衝撃が強かった、かな？」
『………しょく、だい……切様…！？』
夢でも見ていたのかと思った。
ばっと頭を上げたら、頭がズキズキしたけれど
それよりも………！！
私が顔を上げると、目の前に燭台切様がいた。
あれっ？な、なんでここに………！！
手紙で“大丈夫”って書いたのを渡した後から
気配がしてなかったからてっきり
帰っていたと思っていた。
彼は何故か戦闘服に身を包んでいて、
少し土まみれになっていた。
私を抱きしめる形で、下敷きになっている。
私は慌てて距離を離した。
『な、何で……っ』
燭台「ふぅ………危なかったよ。
間に合って良かった。怪我はないかい？」
『まさか………追いかけてくれてたんですか……』
燭台「色々とあって、あのオシラ様が
偽物だって知ったからね………
突き落とされるとは思わなかったけど」
『私を守る為、に………
庇って……下さったんですか』
燭台「ギリギリだったけどね。
怪我は………無さそうかな」
『そ、それよりも燭台切様はっ！？
あんな高い所から落ちて、下敷きになったならっ』
私は天を仰いだ。辺りは森のようで
木々の幹が折れてポッカリと穴が空いていた。
その木の幹の穴から見えるのは
私がさっきいた崖。
高い………あんな所から落ちて、
自分が無事だったのが奇跡だ。
燭台切様も刀剣男士でなければ即死……
私は再び彼に目線を移した。
『怪我はっ！？』
燭台「大丈夫…………と、言いたい所、だけど……
ちょっと動けない、かな」
『！！………失礼します』
私は燭台切様の言葉に、彼の服に手をかけた。
嫌がるかなとか思ったけど、
彼は何かをする訳でもなく苦笑しながら
ただ私にされるがままに目を伏せていた。
シャツを脱がせようとした時、
白いその布は……赤く染まっていた。
思わず一度手を止めてしまう。
でも、直ぐに手を動かした。
燭台切様の左の脇腹に
鋭利な枝が……突き刺さっていた。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
