拾壱話 ページ12
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ｵｼﾗ《昔は己の力でこの身体を動かせたのですが、
何分、力も弱く………他の神よりも信仰がないので》
『それで、ご依頼とは？』
Aの言葉に、オシラ神はゆっくりと口を開く。
ｵｼﾗ《大切な指輪をなくしてしまったのです。
人の子から貰い受けた、大切なものを。
私はこの通り、動けない身。
どうか、指輪探しを手伝ってくださいませ》
そのオシラ神の願いを聞き届けた後、
Aが持つ
not,side〜end〜
───────────────
Aside
乱「主さーん！！見つからないよぉー」
『(参ったなぁ………)』
街の通りや茂みを探してみるも、オシラ様の言う
“指輪”が見つからない………
話を聞けば、あの小さな人形の手に収まるほどの
小さな指輪なんて、簡単には見つかるはずもなく。
私達は途方に暮れていた。
五虎「虎くんに匂いを辿ってもらいましょう、か？」
乱「あ！その手があったー！」
『！？い、いえ、流石に人通りが多い中で
大きな虎が居たら、人を怖がらせちゃうからっ』
五虎「ぁ、そ、そうでし、た」
乱「そっかぁ、残念」
『ﾎｯ……』
五虎退様には悪いけど、流石にあの大きな虎を
徘徊させるのはちょっと………
今の二振りは人に見えてる状態だし……
小虎ならまだしも、あれはちょっとな。
ｵｼﾗ《申し訳ありません、御用人殿。
まさかここまで大変だったとは》
『あの、失礼を承知ですが……
何故眷属の二人に頼まないのですか？』
ｵｼﾗ《白鬼と百夜は私の近くにいないと
動かせないのです。
先程申し上げたように、私は力の弱い神。
紙人形を動かすことも負担がかかってしまって。
私が命じなければ、彼らが動く事もない》
白/百《《………》》
私はオシラ様の話を聞いて、白鬼と百夜を見る。
………確かに、オシラ様が何も言わなければ、
彼らは沈黙したままだ。
本当にオシラ様の手足、なんだな。
無機質で、無表情。
物に宿る付喪神を
顕現している身としては……なんか、な……
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
