壱話 寂しがり屋 ページ2
Aside
鶴さんは、もう………居ない。
私が知る鶴さんは、
私の父と母を連れて逝ってしまった。
でもあの人だからこそ、
私の本当の両親を任せられる。
そう思ったから、後悔はしてはいない。
止まっていた時間が、
ようやく動く事が出来たのだから。
でもね………それでもやっぱり思う事はあるんだよ。
───────────────
長谷「鶴丸国永ぁ！！
今日と言う今日は許さんっ！！
出て来い！押し切るっ！！」
燭台「…………鶴さん、懲りないね……
今度は何したんだろ………」
『さ、さぁ？』
あれから、数ヶ月。
つい最近顕現したばかりの鶴丸様は
本丸の新たな生活にようやく馴染んできた頃。
長谷部様の怒号はいつもの如く、
本丸中に響かせていた。
鶴丸様………またあの人は………
長谷部様この間熱出して倒れたばかりだと言うのに。
いや、執務室に籠もり気味の長谷部様に対して
彼なりの外へ連れ出す気遣いかも知れないけど。
ありがた迷惑と言うか、何と言うか………
??「？今のは」
『すみません、騒がしくて………“山鳥毛”様』
山鳥「ははは、いや気にしないでくれ。
私はあまり騒ぎ立てるのは得意ではないが、
賑やかなのは嫌いではないからね」
燭台「福岡一文字の刀剣とは何だか親近感があるよ。
よろしくね、山鳥毛さん。御手杵君も」
御手「ああ、よろしくなっ」
今日は新たな仲間がやって来た。
山鳥毛様と御手杵様だ。
鍛刀でやって来てくれた二振りは
笑ってそう答えてくれる。
そう言えば山鳥毛様は本来、鍛刀での顕現は
難しい刀剣とこんのすけが言うものだから
凄く緊張してしまったんだけど………
あ、圧が凄い………
でも見た目に反して凄く穏やかに
話してくれる刀剣で、何故か私を“小鳥”と呼ぶ。
………うん、凄くいい人だった。
それから御手杵様。
彼とは現世で一度違う本丸の刀剣として
会ったことはあったけど、
目の前にいる彼は勿論私の事なんて知る由もない。
当たり前だけど………
現世での彼は凄く弱っていたから、
今隣にいる御手杵様を見ると何だか安心した。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
