伍話 ページ6
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『(最低………)』
いつまでもあの事を引っ張って………
引きずって、思い返して。
涙が溢れた。
なんで。泣いたら駄目なんだ。
審神者としてしっかりしなきゃいけないんだ。
鶴丸様に余計な心配をかけてしまう。
…………キツいなぁ。
引き継ぐのって、本当に難しくて………
生涯背負って行かなければいけないのだから。
『(弱音は、吐かない………思い返しても、
あの人は居ない。戻らない)』
前を見なければ。振り向いても、どうしようもない。
大丈夫。私はもう、大丈夫。
一人ではないのだから、皆に心配かけないように。
その時、懐がふと温もりを帯び始めた。
？何………？いや、この感じ………
『
私は懐から書物を取り出す。
取り出した瞬間、書物はペラペラとページが
自動的にめくり上げて行き、
最終ページでピタリと止まる。
………えぇっ、このタイミングで？
そしてそのページに薄っすらと
文字が浮かび上がった。
そこにはとある紙の名が刻まれていた。
『………オシラ、ガミ？』
───────────────
一期「また、神の御用が？」
『そうなんです。現世に行って、
御用を済ませたいんですけど………
留守の間に本丸を任せても？』
私は着物から普段着に着替えた後、
今日の近侍である一期様に
事情を伝えると、彼は笑って承諾してくれた。
これから現世出張みたいな形で
もとの時代へと戻り、御用の神様に
会いに行かなければならない。
留守は一期様なら審神者代理できっちりと
こなしてくれるだろうし、問題ないだろう。
一期「しかし主殿、顔色が優れぬようですが
大丈夫ですか？
目も赤くして…………」
『！………昔を、思い出してしまって。
ちょっと……ですね』
一期「………なる程、ですから燭台切殿には
同行を頼んでいないと言う事ですな」
『！？ど、どうして、』
一期「貴方はそう言う方、と………知ってますので。
まあいつものように“頼れ”とは申し上げませんが。
たまには、一人になりたいのでしょう？
久々の現世です。息抜きがてら行ってきてください。
勿論、護衛は絶対に連れて行くのが条件ですよ？
じゃないと皆、勝手に貴方に
着いていく羽目になりますので」
……滅茶苦茶心読まれてて焦るんだが。
え、そんな私分かりやすいのか？
何か、複雑………嬉しいけど………
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年6月28日 10時
