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+弐佰肆拾陸+ ページ6







睦月下旬

副長、総長が率いる新選組は、
大阪の警備から戻ってきた。


出迎えたのはいいが、
その時の副長の顔は忘れられない。


当たり前だ。自分がいながら、
総長に怪我を負わせてしまったのだから。
それに、彼はもう…………
剣を持つのも難しい体となってしまった。

どれほど無念だろうか。



その感情は、俺にもよく分かった。
無力な自分が無償に嫌になる。

そんな感覚………

考えるだけでも、俺の胸を締め付けるには容易かった。





総長の腕には痛々しく包帯が巻かれており、
彼は愛想よく笑っているけど………
その瞳には、影がかかる事が多くなってしまった。



でも、俺にはお二人を救う
言葉なんて思い付かなかった。
思い付けなかった……

そして、再び知ったんだ。




人は人を救えない事に………
何でもは守れない事に………








___________________








時宏「………馳走さま」

『もういいのか?』

時宏「飯食う気分じゃねぇんだよ………」

宿「広瀬サン………らしくないっすよ」


時宏「自分でも思うぜ………
何で俺、新選組に入ったんだろうな」


『…………は?』









夕食を終えた時宏は、酒に手を伸ばしながら
ボソリとそう呟いた。
いきなりそんな事を言うもんだから、
思わず間抜けた声が出てしまう。









『お前、何を言って………』


時宏「嗚呼、勘違いすんなよ。
別に新選組を止めたいとか、そんなんじゃねぇ」


『ならどうして、』


時宏「お前、斬り合いを見たことあったよな?
楠の時によ……」


『あ……嗚呼………』


時宏「今回の警備の時に、俺も初めて経験した。
斬り合いってのは…………案外あっけねぇのな」


『…………』


時宏「肉が裂けた音、嘆く人間の最期、血の匂い………
俺はそん時、動けなかったんだ…………

山南総長が斬られた所も、ただ見てた」









そうか………その事件の時、
時宏もその場にいたんだ。

やっと時宏の言葉の意味が分かった。
初めての殺し合いで、困惑したのだろう。

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冷泉 雪桜(プロフ) - 風化月下さん» 月下さん、コメントありがとうございます。小説が長くなり過ぎてしまって少し申し訳ないです…………………………楽しんで貰えているのなら幸いですが( ̄▽ ̄;)これからもよろしくお願いします! (2018年2月8日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
風化月下(プロフ) - こんなに長くて面白い小説は初めてです!応援してるので更新頑張ってください(*´ω`*) (2018年2月8日 19時) (レス) id: 61e3ec196f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2018年1月12日 19時

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